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When I Fall in Love(The Carpenters)
- 作曲: YOUNG VICTOR POPULAR

When I Fall in Love(The Carpenters) - 楽譜サンプル
When I Fall in Love(The Carpenters)|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「When I Fall in Love」は、作曲ヴィクター・ヤング、作詞エドワード・ヘイマンによる1952年発表のスタンダード。敬虔でロマンティックな歌詞と、流麗な旋律が結びついた名曲として知られ、ジャズとポップ双方で長く歌い継がれている。カーペンターズも本曲を取り上げ、Karenの繊細な声質とRichardの端正なアレンジで、静謐かつ格調高いバラードとして再提示した。なお、カーペンターズ版の初出年・収録アルバムの詳細は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
形式はアメリカン・ソングブックに典型的なAABAの32小節。Aセクションでは柔らかく上行・下行する旋律が「誠実な愛」を象徴するように歌われ、B(ブリッジ)で一時的な和声転換が生み出す陰影がドラマを強調する。機能和声に基づく副属和音や循環進行が要所で用いられ、サビでは長い保続音が情感を支える。演奏テンポはスローバラードが主流で、ルバートの前奏やストリングスを配したアレンジが定番。カーペンターズ版は、低域を生かしたヴォーカル、内声を丁寧に積むピアノ・ヴォイシング、控えめなストリングスとコーラスにより、透明感と親密さを両立させている。
歴史的背景
1952年に世に出て、Jeri Southernの録音が初期の代表例として知られる。同年にはDoris Dayも取り上げ、1956年のNat King Cole版が広範な支持を得て、楽曲の地位を決定づけた。以後、曲はアメリカン・ソングブックの中核的レパートリーとして、ラジオやクラブ・シーン、テレビ番組など多様な場で親しまれるようになる。カーペンターズは、その洗練されたポップ・サウンドで、スタンダード曲の魅力を大衆層に橋渡しする役割を果たした。
有名な演奏・録音
Nat King Cole(1956)とDoris Day(1952)の名唱は、今なお基準点として参照される。1987年にはRick Astleyのカバーがヒットし、1993年の映画「めぐり逢えたら」ではCeline Dion & Clive Griffin版が広く注目を集めた。これらの成功は、本曲が時代ごとに新たなリスナーを獲得してきたことを示す。カーペンターズの端正な解釈は、ポップス文脈での鑑賞に適し、入門編としても有効である。なお、カーペンターズ版のチャート情報は情報不明。
現代における評価と影響
本曲は結婚式や記念日の定番として定着し、ジャズ・ヴォーカルやポップ・スタンダードの教育現場でも頻繁に扱われる。流麗な旋律と明快な形式は、アレンジの自由度も高く、弦楽伴奏からピアノ・トリオ、アカペラまで適応範囲が広い。カーペンターズ版は、穏やかなダイナミクスとクリアな発音で、歌詞の誓いのニュアンスを丁寧に伝え、現代のリスニング環境でも聴き疲れしない完成度を示している。
まとめ
ヴィクター・ヤングとエドワード・ヘイマンが生んだ「When I Fall in Love」は、AABA形式と豊かな和声が紡ぐ普遍的バラード。多くの名唱に加え、カーペンターズの静謐なバージョンがその魅力を新たな層へ届けてきた。収録年・アルバムなど一部は情報不明ながら、楽曲自体の価値は揺るがず、今後も世代を超えて歌い継がれるだろう。