I Didn't Know What Time It Was
- 作曲: RODGERS RICHARD

I Didn't Know What Time It Was - 楽譜サンプル
I Didn't Know What Time It Was|楽曲の特徴と歴史
基本情報
『I Didn't Know What Time It Was』は、作曲リチャード・ロジャース、作詞ロレンツ・ハートによる1939年の楽曲。ブロードウェイ・ミュージカル『Too Many Girls』のために書かれ、のちにジャズ・シーンで広く演奏されるようになった。アメリカン・ソングブックを代表する一曲として定着している。
音楽的特徴と演奏スタイル
滑らかで抒情的な旋律が特徴で、フレーズの呼吸を生かした歌唱やアドリブが映える。テンポはバラードからミディアム・スイングまで幅広く、シンガーの語り口やコンボのダイナミクスで表情が大きく変わる。機能的な和声進行によりリハーモナイズもしやすく、現代ジャズでも解釈の余地が広い。
歴史的背景
1930年代末はロジャース&ハートの黄金期で、都会的な機知と洗練を備えたナンバーが次々に生まれた。本作もショー・チューンとして舞台で親しまれ、やがてクラブやレコーディング現場で独立したレパートリーへと発展。戦前から戦後にかけてのポピュラー音楽の変遷を橋渡しする存在となった。
有名な演奏・録音
代表的な録音として、エラ・フィッツジェラルドの『Rodgers & Hart Songbook』(1956年)が広く知られる。伸びやかな発声と明晰なフレージングが曲の品格を引き立てた。そのほか多くの歌手・器楽奏者が録音を残しているが、具体的なアルバム名や年次の網羅情報は情報不明。
現代における評価と影響
今日でもセッションやリサイタルの定番として取り上げられ、歌と器楽の両面で表現幅が広い。初学者にはメロディ理解、上級者には和声処理と物語性の両立を促す教材的価値がある。時代を超えて演奏され続け、ストリーミングや配信でも安定した人気を保っている。
まとめ
『I Didn't Know What Time It Was』は、ショー起源の気品とジャズの即興性を両立させた名曲。明快な構造と豊かな感情表現が、新たな解釈を生み続ける原動力になっている。初めて触れる人にも、標準曲を深めたい演奏家にも薦められるスタンダードだ。