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(They Long To Be) Close To You
- 作曲: BACHARACH BURT F

(They Long To Be) Close To You - 楽譜サンプル
(They Long To Be)Close To You|歌詞の意味と歴史
基本情報
本作は、作曲バート・バカラック、作詞ハル・デイヴィッドによるポップ・ソング。初出は1963年で、決定版は1970年のカーペンターズ録音。A&Mからシングルとして発表され、穏やかなテンポ、重ねられたコーラス、柔らかなフリューゲルホルンが象徴的なサウンドを形作った。職人的な和声運びと普遍的なメロディが両立した、20世紀ポップスの代表曲である。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、相手の存在が世界をきらめかせるという視点で、憧憬と親密さを静かに積み上げる。日常の情景や自然のイメージを通じて「あなたのそばにいたい」という願いを反復し、聴き手の個人的記憶と結びつく普遍性を持つ。カレン・カーペンターの温かな声はその純度を際立たせ、過度な劇性を避けた語り口が魅力だ。直接的な表現を控えつつ、同情と優しさで満たされたラブソングの典型といえる。
歴史的背景
1960年代の職人的ソングライティングの結晶として生まれ、初録音は俳優リチャード・チェンバレン(1963年)。ディオンヌ・ワーウィックも取り上げ、のちにA&Mの共同創業者ハーブ・アルパートの薦めでカーペンターズへと渡った。1970年に全米ビルボード・Hot 100で4週連続1位を獲得し、翌年のグラミー賞でグループによるコンテンポラリー部門を受賞。デュオの出世作としてだけでなく、作家コンビの評価を決定づけた。
有名な演奏・映画での使用
有名な演奏としては、カーペンターズ版が圧倒的な認知を持ち、コンサートやテレビ出演でもたびたび披露された。初期の解釈としてリチャード・チェンバレン、ディオンヌ・ワーウィックらの録音が知られる。映画での具体的な使用作品は情報不明。多言語・多様なアレンジでのカバーが継続的に生まれており、ジャズ寄りの解釈からアコースティック・デュオ編成まで、楽曲の器の大きさを示している。
現代における評価と影響
今日でも結婚式や記念日の定番曲として親しまれ、配信時代においても新たな聴衆を獲得。ジャズやAOR、シティ・ポップ系のアーティストにも影響を与え、柔らかなコード運びと独特の転調感は作曲・編曲の教材として引用されることが多い。シンプルに聴こえるが、フレーズの呼吸、間合い、和声の色彩を精妙に設計した楽曲であり、歌手の解釈次第で多彩な表情を見せる点がロングセラーの要因となっている。
まとめ
バカラック=デイヴィッドの精緻な筆致と、カーペンターズの繊細な解釈が出会い、恋心の普遍を可視化した名曲。技巧に裏付けられた親しみやすさ、そして時代を超える情感が、初演から半世紀を過ぎても色あせない理由である。初めて聴く人にも、背景を知って聴き直す人にも、新たな発見をもたらすスタンダードとして位置づけられる。