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海の見える街
- 作曲: 久石 譲

海の見える街 - 楽譜サンプル
海の見える街|作品の特徴と歴史
基本情報
「海の見える街」は、久石譲が映画『魔女の宅急便』(1989年、監督:宮崎駿)のために作曲したインストゥルメンタル。英題は“A Town with an Ocean View”。サウンドトラックの中でも親しまれる代表曲で、コンサートやピアノ独奏用の編曲も広く演奏される。歌詞は存在しない。
音楽的特徴と表現
明るい長調の端正な主題を核に、木管とストリングスが軽やかに受け渡し、広がりのある管弦楽が海風の開放感を描く。穏やかな伴奏上で旋律が少しずつ高揚し、ダイナミクスの推移で場面の移ろいを映し出す。和声は親しみやすく、要所での転調とブリッジが都市の躍動と主人公の期待感を描写する。
歴史的背景
1980年代後半、久石譲はスタジオジブリ作品のスコアを継続して担当しており、本曲もその流れで生まれた。『魔女の宅急便』は1989年公開。楽曲は物語と世界観に寄り添う主題群の一つとして位置づけられ、公開当時から愛好されてきた。詳細な制作過程や録音体制は情報不明。
使用された映画・舞台(該当時)
本曲は、主人公キキが海沿いの街へ到着し、新しい生活を始める場面をはじめ、街の景観や配送のシーンで繰り返し用いられる。カメラワークとフレーズが呼応し、上昇・下降する旋律が飛行や街の起伏を補強するなど、映像と一体化した映画音楽の書法が際立つ。
現代における評価と影響
「海の見える街」は、久石譲のコンサートやオーケストラ公演の定番曲として広く親しまれ、ピアノ、室内楽、吹奏楽など多様なアレンジが流通している。動画配信やストリーミングでも国際的に聴かれ、映画を象徴するテーマとして高い認知を獲得している。
まとめ
明快な旋律と温かなオーケストレーションで“出発”と“街の息づかい”を描いた本曲は、単独で聴いても映像と共に聴いても魅力が伝わる。映画音楽としての機能性とコンサート・レパートリーとしての普遍性を兼ね備えた、久石譲の代表作である。