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イルカ

なごり雪

  • 作曲: 伊勢 正三
#歌謡曲#邦楽ポップス
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なごり雪 - 楽譜サンプル

なごり雪|歌詞の意味と歴史

基本情報

「なごり雪」は、伊勢正三が作曲・作詞した日本のフォークソング。1974年にかぐや姫のレパートリーとして発表され、翌1975年にイルカがカバーし、広く一般に浸透した。静謐なメロディと叙情的な言葉運びが特徴で、季節の移ろいと別れを描く楽曲として長く親しまれている。現在も幅広い世代に歌い継がれ、卒業や旅立ちの季節を象徴する定番曲の一つとして位置づけられている。

歌詞のテーマと意味

タイトルの“なごり雪”は、春先に名残のように降る雪のこと。歌詞は、駅のホームでの別れという情景を背景に、若さゆえのすれ違い、言葉にできなかった感情、季節の終わりがもたらす喪失感を繊細にすくい取る。降り積もらない雪が心にだけ残るという対比が、思い出の痛みとやさしさを同時に表現。比喩と具体的な景色描写のバランスが秀逸で、聴き手自身の記憶と重なりやすい普遍性を持つ。なお、歌詞の全文はここでは扱わない。

歴史的背景

1970年代の日本では、フォーク/ニューミュージックが台頭し、個人の心情を静かに綴る歌が支持を集めた。「なごり雪」はその潮流の中で、アコースティックな質感と物語性を備えた作品として存在感を放つ。都会化が進む一方で、鉄道や駅といった生活の場がドラマの舞台になりやすかった時代性も相まって、私小説的なリアリティを獲得。流行を超えて定着する土壌が整っていた。

有名な演奏・映画での使用

代表的な演奏としては、かぐや姫のオリジナル発表に続くイルカのカバーが特に知られる。以降、多くのシンガーがライブや音源で取り上げ、アレンジの違いによって楽曲の儚さや温度感を多面的に引き出してきた。一方、映画・ドラマでの具体的な使用事例については情報不明。映像文脈との結びつきが語られることは多いが、確定的な作品名は本稿では提示できない。

現代における評価と影響

「なごり雪」は、季節の情景と離別の感情を重ねる日本的叙情の典型として評価される。配信時代においてもカバーやプレイリストでの露出が続き、若い世代にも再発見されている。発声の伸びを活かしやすい旋律線、言葉数を抑えたフレーズ構成は、シンガーの解釈を乗せやすく、ライブの定番曲としても定着。卒業式や送別の時期に想起される象徴曲として、文化的記憶に深く刻まれている。

まとめ

名残りの雪という季節語に、別れの痛みと優しさを託した「なごり雪」は、フォーク史の名曲であると同時に、日本語ポップスの表現力を示す一曲。かぐや姫の発表とイルカのカバーを経て国民的スタンダードとなり、今なお多くの歌い手に愛され続ける。聴くたびに変わる“あなた自身の物語”を映す鏡のような歌として、これからも歌い継がれていくだろう。