山口百恵
いい日旅立ち
- 作曲: 谷村 新司

いい日旅立ち - 楽譜サンプル
いい日旅立ち|歌詞の意味と歴史
基本情報
「いい日旅立ち」は、作曲・作詞を谷村新司が手がけ、1978年に山口百恵の歌唱で発表された楽曲。昭和末期を代表する歌謡曲の一つで、広く世代を超えて親しまれている。オリジナルのアレンジ担当や詳細な制作クレジットは情報不明だが、シンプルなメロディと伸びやかな旋律が印象的で、歌唱の表情豊かさが楽曲の魅力を強めている。発売直後から各種ランキングで上位に入り、以降も定番曲として長く歌い継がれてきた。
歌詞のテーマと意味
本作の軸は「旅立ち」。別れや喪失の気配をにじませつつも、未来へ歩み出す意思を穏やかに描く。歌詞は具体的な地名や情景を過度に列挙せず、聴き手が自分の体験と重ねられる余白を残しているのが特徴。心細さと希望が同居する心理の揺れが、抑制の効いた言葉遣いと旋律の抑揚で丁寧に表現され、結果として普遍性の高い“門出の歌”として機能している。卒業や転居など人生の節目に選ばれやすい理由も、個々の記憶に寄り添う抽象度のバランスにある。
歴史的背景
1970年代後半の日本では余暇の拡大と国内旅行の需要が高まり、鉄道を含む観光プロモーションが活発化していた。「いい日旅立ち」は日本国有鉄道(国鉄)のキャンペーン楽曲として起用され、旅情を喚起するイメージと結びついて広く浸透。山口百恵にとっても成熟した表現力を示す代表作となり、歌謡界における“旅”モチーフの定番化に寄与した。こうした社会的・商業的文脈が、楽曲の長期的な浸透を後押ししたといえる。
有名な演奏・映画での使用
谷村新司によるセルフカバーや関連作品が後年に発表され、楽曲の再評価が進んだことが知られている。その他、多数のアーティストによるカバーが存在するが、網羅的な一覧は情報不明。映画やドラマでの顕著な使用例についても詳細は情報不明である。ただし、式典・コンサート・テレビ番組の特集などで繰り返し取り上げられ、世代横断的な認知度を保っている点は特筆に値する。
現代における評価と影響
発表から数十年を経てもなお、カラオケや合唱、学校行事などで定番として選ばれ続ける。特定の世代に閉じない普遍性、そして“旅立ち”を象徴する象徴性が、時代を超えて機能しているためだ。配信やサブスクリプション時代においても再生される機会は多く、昭和歌謡の名曲として再発見される文脈で語られることが増えた。プレイリストやカバー企画での継続的な露出が、次世代への継承を支えている。
まとめ
「いい日旅立ち」は、谷村新司の筆致と山口百恵の歌唱が結晶した“旅立ち”の名曲。国鉄キャンペーンという歴史的接点により大衆的な記憶に刻まれ、今も節目の場面で選ばれる普遍性を保ち続ける。情報不明な点はあるものの、その核にある希望と余韻は色褪せない。