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Take On Me
- 作曲: FURUHOLMEN MAGS

Take On Me - 楽譜サンプル
Take On Me|歌詞の意味と歴史
基本情報
「Take On Me」はノルウェーのバンドa-haによるシンセポップの代表曲。作曲者はFURUHOLMEN MAGS。作詞はMagne Furuholmen、Morten Harket、Pål Waaktaar-Savoy。1984年に初期版が登場し、1985年にプロデューサーのAlan Tarneyと再録したバージョンが世界的ヒットとなった。米Billboard Hot 100で1位を獲得し、多くの国で上位にランクイン。鉛筆画のロトスコープと実写を融合したスティーヴ・バロン監督のミュージックビデオがMTVで爆発的な注目を集め、楽曲と映像の両面で80年代を象徴する存在となった。
歌詞のテーマと意味
タイトルの“Take On Me”は「僕を受け止めて」「踏み出して」という呼びかけを含み、揺れる関係に一歩進む勇気を促すメッセージが核にある。切迫感のあるヴァースから、解放感あふれるコーラスへと向かう構成は、不安と期待の揺らぎを音楽的にも映し出す。比喩表現は直接的な愛の宣言に偏らず、迷いと決意の間を往復するニュアンスで描かれ、聴き手の自己投影を促す普遍性を備える。高音のファルセットで頂点へ駆け上がるメロディは、感情のピークを象徴的に押し上げ、シンプルな語彙に普遍的な切実さを与えている。
歴史的背景
80年代前半、シンセサイザーとドラムマシンがポップの主役へ躍り出る中、a-haは北欧発の洗練されたサウンドで台頭。初期版は成功に至らなかったが、アレンジと録音を磨き上げた再録版が時代の耳に合致し、MTV時代の視覚的革新とも相まって世界規模のブレイクを果たした。メロディの即時性、電子的質感の明快さ、そして映像戦略の三位一体が、欧州から米国市場への越境を実現した好例として音楽産業史に位置づけられる。
有名な演奏・映画での使用
アコースティックに再解釈したa-ha自身の演奏が映画『デッドプール2』で使用され、原曲の旋律美を改めて印象づけた。ゲーム『The Last of Us Part II』では作中カバーが話題となり、世代を超えた浸透度を示した。さらにWeezerによるカバー(2019年リリースのカバー作)も広く認知され、楽曲の普遍性と編曲耐性の高さを裏付けている。CMや番組BGMでも頻繁に用いられ、耳馴染みのシンセ・リフはポップカルチャーの共通記憶となっている。
現代における評価と影響
公式MVはYouTubeで10億回再生を突破し、映像表現の古典として再評価が進む。高音域のコーラスは“歌ってみた”文化で挑戦的な目標となり、SNS時代にも継続的な拡散力を持つ。音楽的には、即効性のあるシンセ・リフ、推進力のあるビート、ダイナミクス設計が後続のシンセポップ/エレクトロ・ポップに影響を与えた。ライブでは原曲のテンポ感を保ちつつ、編成に応じてアコースティックに置換しても成立する設計の巧みさが評価されている。
まとめ
「Take On Me」は、覚醒感のあるメロディと先進的な映像美で時代を横断して響く名曲である。恋の不確かさに踏み出す勇気を促す歌詞、磨き上げられた再録、そしてMTV時代を象徴するMVが結晶化し、今日まで新たなリスナーを惹きつけ続ける。