翼をください
- 作曲: 村井 邦彦

翼をください - 楽譜サンプル
翼をください|歌詞の意味と歴史
基本情報
「翼をください」は、作曲・村井邦彦、作詞・山上路夫による日本のポップ/フォーク・ソング。1970年代初頭、フォーク・グループ赤い鳥の歌唱で広く知られるようになった。発表年は情報不明。シンプルで覚えやすい旋律と明快な和声進行、誰もが歌える音域設計が特徴で、合唱編曲が豊富に存在する。学校の音楽授業や合唱コンクール、地域合唱でも定番となり、世代を超えて親しまれている。
歌詞のテーマと意味
本曲は、翼を求める願いをメタファーに、自由への希求、自立と挑戦、未来への希望を描く。現状から一歩踏み出す勇気を内面から呼び覚ます内容で、青春の感情に寄り添いながらも、年齢や立場を問わず共感しうる普遍性を備える。繰り返し現れるフレーズ構造が高揚感を生み、サビに向けてのスケール感あるメロディが“飛翔”のイメージを音楽的にも支える。比喩が過度に具体的でないため、聴き手が自分の文脈に引き寄せて解釈しやすい点も長く歌われる理由だ。
歴史的背景
日本のフォークが隆盛した1970年代、シンプルなコードとメッセージ性の高い歌が幅広い支持を獲得した。本曲もその潮流の中で生まれ、合唱に適した旋律と伝えやすい言葉運びが教育現場への浸透を後押しした。歌集や教材への採録、レコード/CD化と放送露出により家庭や地域コミュニティへも拡散。のちのJ-POP世代にも継承され、日本的ポップ・スタンダードの一角を占める存在になっていく。
有名な演奏・映画での使用
オリジナルの赤い鳥による録音を起点に、多数のアーティストや合唱団がカバーを発表。混声・女声・男声・児童合唱など編成違いの版が普及し、ピアノ伴奏、バンド編成、ストリングスや吹奏楽を加えた拡張アレンジまで幅広い。映画・テレビ・CMなどでの使用例は複数あるが、具体的な作品名は情報不明。学校行事や卒業式、各種式典、スポーツイベントでも歌われる機会が多く、公共空間での共有体験を生み出してきた。
現代における評価と影響
今日では“日本の名曲”としての評価が定着し、カラオケや動画配信サイトでも定番曲として浸透。自由や再出発をテーマに据える企画と親和性が高く、舞台・映像・広告の文脈でも世代横断的に機能する。音楽教育では、ハーモニー作りや言葉の明瞭な発声、フレーズの呼吸を学ぶ教材として重宝され、初学者から上級合唱まで応用範囲が広い。カバーの更新が続くことで、楽曲の生命力が今も拡張されている。
まとめ
「翼をください」は、普遍的メッセージと歌いやすい旋律設計を備え、時代や場面を超えて機能する稀有なポップ・スタンダードである。合唱でも独唱でも魅力が立ち、各世代が自らの言葉として歌い継げる開かれた器を持つ。初めて触れる人には入口として、既に知る人には新たな解釈の余地を与える一曲だ。