ペドロ＆カプリシャス

五番街のマリーへ

#歌謡曲#邦楽ポップス

五番街のマリーへ - 楽譜サンプル

本作は作曲・都倉俊一、作詞・阿久悠による都会派バラード。オリジナル歌唱としてペドロ＆カプリシャス（リード：高橋真梨子）が広く知られ、同グループの代表曲として定着した。発売年・レーベルは情報不明だが、70年代歌謡を象徴する一曲である。

歌詞は「五番街」に暮らす女性マリーへ宛てた手紙風のメッセージ。都会の喧騒に揺れる心をいたわり、相手の幸福を祈る眼差しが核となる。別れの痛みを語りつつも、恨みではなく赦しへ着地する語り口が印象的。異国情緒と余白の多い描写が、聴き手の記憶を喚起する普遍性を生んでいる。

1970年代前半、日本の歌謡界では物語性の高い詞とドラマティックな旋律を軸にした「都会派」が台頭。阿久悠の緻密なストーリーテリングと、都倉俊一の流麗な旋律・転調設計が結びつき、女性ボーカルの説得力を最大化した。テレビ歌番組を通じて広範に浸透した。

代表的演奏はペドロ＆カプリシャスのオリジナルで、高橋真梨子のソロ公演でも長く歌い継がれている。多数の歌手がカバーを発表しているが、網羅的な一覧は情報不明。映画・ドラマでの明確な使用事例も情報不明である。

現在もカラオケ定番として支持され、昭和歌謡リバイバルの文脈で再評価が進む。外国の地名を舞台に普遍的感情を日本語で描く手法は、後続のシティポップやポップスにも通じる。包容力のあるメロディが世代を越えて共感を呼ぶ。

洗練された作曲と物語性豊かな歌詞が結晶した都会派バラード。具体と抽象の均衡が名曲たらしめ、時代を超えて歌い継がれる理由となっている。基本情報の一部は情報不明。