アーティスト情報なし
Romance De Amor (禁じられた遊び)
- 作曲: スペイン民謡

Romance De Amor (禁じられた遊び) - 楽譜サンプル
Romance De Amor (禁じられた遊び)|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Romance De Amor(禁じられた遊び)は、スペイン民謡として伝わる無名作者のギター独奏曲。1952年の仏映画『禁じられた遊び』で広く知られ、以後「Romance」「Spanish Romance」「Romanza」など多様な題名で流通する。歌詞は存在せず、純粋な器楽曲として親しまれている。
音楽的特徴と演奏スタイル
一般的な版はホ短調を基調とする静かなA–B–Aの三部構成。中間部で同主長調へと明るさを帯び、再現で再び陰影が戻る対比が魅力だ。分散和音のアルペジオ上に歌う旋律が置かれ、右手はp–i–m–aの均整とダイナミクスの段階づけが要。旋律はアポヤンドや指先のビブラートで輪郭を際立たせ、内声は控えめに保って重心を下げると透明感が生まれる。ルバートは控えめに、フレーズ終止で呼吸を作ると音楽が自然に流れる。
歴史的背景
成立時期や原作者は情報不明。19〜20世紀にかけてギター界で写譜・口承により伝わったとされ、地域や編者によって和声・装飾の細部が異なる複数の版が存在する。オリジナルの自筆譜は情報不明だが、様々な編曲譜が流通し、映画採用以前から愛好家のレパートリーとして演奏されていた。
有名な演奏・録音
映画『禁じられた遊び』のサウンドトラックでギターを担当したナルシソ・イエペスの演奏は象徴的存在で、彼の版は教育現場でも定着している。のちにジョン・ウィリアムス、ペペ・ロメロ、村治佳織ほか、多くのギタリストが録音を残し、ピアノや弦楽合奏、フルートとの二重奏など多様な編曲版も出版・上演されている。
現代における評価と影響
技術的には初中級でも取り組みやすく、右手アルペジオ、旋律の歌わせ方、響きのバランスなど基礎と表現を同時に学べる教材として評価が高い。一方で音色のコントロールや内声処理、間合いの美学など高度な表現も要求され、上級者にとっても侮れない。映画音楽とクラシック・ギターの架け橋的存在として、演奏会から教育現場まで幅広く生き続けている。
まとめ
Romance De Amorは、簡素な素材から深い抒情を引き出すギター小品。起源は情報不明ながら、映画『禁じられた遊び』を契機に国際的な知名度を得て、今日まで多様な版と解釈で演奏されている。入門曲として、また表現研究の題材として、世代や国境を超えて愛される不朽のレパートリーである。