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Lili Marleen

  • 作曲: SCHULTZE NORBERT (DE 1)
#洋楽ポップス#トラディショナル
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Lili Marleen - 楽譜サンプル

Lili Marleen|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Lili Marleen」は、第一次世界大戦中の詩人ハンス・ライプの詩をもとに、ノルベルト・シュルツェが作曲。1939年にララ(Lale)・アンデルセンが独語で初録音。ドイツのシュラーガーに根ざすポピュラー・ソングで、別表記はLili Marlen/Lili Marlene。シンプルで記憶に残る旋律と抒情的な歌詞が特徴で、戦時下の大衆文化を象徴する1曲として広く知られる。

歌詞のテーマと意味

歌は「兵舎の門前の街灯(ランタン)の下」で愛する人を待ち、別れと再会の約束を語る一人称の視点で綴られる。灯りは希望と記憶の象徴であり、戦地の不安や距離を超えた切実な愛情を静かに描く。政治性やプロパガンダ色は薄く、あくまで個人の感情に焦点を当てた普遍性が、国や言語の違いを超えて受け入れられた理由といえる。歌詞の全文はここでは割愛する。

歴史的背景

1941年、ラジオ・ベオグラードが消灯時の定番曲として頻繁に放送し、前線の兵士に爆発的に広がった。ナチ政権は一時、曲の放送や流通を制限したが、兵士からの強い要望で復活した記録がある。やがて曲は枢軸・連合の陣営を越えて受容され、各地で翻訳・カバーが制作された。英語版も戦時中に普及し、兵士の郷愁と慰めの象徴として語り継がれていく。

有名な演奏・映画での使用

オリジナルの決定版としてララ・アンデルセン盤が知られ、後年も再録が重ねられた。マレーネ・ディートリヒは英語版を中心に連合軍慰問のステージで披露し、国際的に楽曲の名を高めた。映画ではライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督『リリ・マルレーン』(1981)が代表例で、物語の核として曲が機能する。他にも第二次大戦を扱う映像作品で挿入歌として参照されることが多い。

現代における評価と影響

今日、「Lili Marleen」は戦争と離別をめぐる記憶の歌として研究・再演が続く。ドイツ語をはじめ多言語で歌われ、ジャズ、シャンソン、ロックなど多様なアレンジが生まれた。メロディの親しみやすさと簡潔な構成はカバー適性が高く、ライブのアンコールやアンソロジーでも定番化。学術的にはメディアの拡散力がポピュラー音楽の受容を左右した事例としても注目される。

まとめ

個人の愛情を描いた一編の歌が、放送メディアを媒介に世界的な戦時歌謡へと拡散した好例が「Lili Marleen」である。作曲者ノルベルト・シュルツェの旋律美と、ハンス・ライプの詩的イメージがもたらす普遍性は、時代や国境を越えて共感を呼び、今なお多数の歌手に受け継がれている。