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Good Vibrations

  • 作曲: LOVE MIKE E,WILSON BRIAN DOUGLAS
#洋楽ポップス
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Good Vibrations - 楽譜サンプル

Good Vibrations|歌詞の意味と歴史

基本情報

Good Vibrationsは、1966年にザ・ビーチ・ボーイズが発表したシングル。作曲はブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴ(クレジット表記は LOVE MIKE E, WILSON BRIAN DOUGLAS)。レーベルはCapitol Records。発売直後に全米・全英ともに1位を獲得し、同時代のポップ・ミュージックにおける制作水準を塗り替えた名曲として知られる。特徴的なのは、テルミン風の電子楽器(エレクトロ・サーミン)の幽玄な音色と、複数のセクションが切り貼りのように連結される“モジュラー式”の構成。緻密なアレンジと豊かなハーモニー、スタジオでの高度な音響設計が融合し、シングル曲として異例のスケールを実現した。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、語り手が相手から直感的に感じ取る“良い波動”を描写し、言葉を超えた感覚的な引力と高揚感を語る内容。視覚・触覚・聴覚のイメージが重ねられ、心地よいエネルギーに身を委ねるロマンティックな瞬間が表現される。反復されるフレーズは、内面に生まれる肯定的な感覚を象徴し、サウンド面の浮遊感と呼応。過度な叙情ではなく、直観と身体性に寄り添う語り口が60年代後半の精神文化とも響き合い、普遍的な恋のトキメキを開かれたメッセージとして提示している。

歴史的背景

本作は『Pet Sounds』後期の創作モードから生まれ、アルバム未収の単独シングルとして完成。ロサンゼルス各所のスタジオで多数のテイクを録り、後にテープ編集で最良の断片を接続する手法が用いられた。これは後年のサンプリングやループ構築を先取りする発想で、ポップ・フィールドにおけるスタジオ実験の到達点のひとつとされる。高度なコーラス・ワーク、鍵盤・打楽器群の重層化、電子楽器の導入が相まって、シングルとしては稀有な音響のドラマ性が築かれた。

有名な演奏・映画での使用

最も著名なのはザ・ビーチ・ボーイズ自身のオリジナル録音で、以降のコンサートでも定番曲としてたびたび演奏されている。ブライアン・ウィルソンによるソロ公演でも取り上げられ、異なる編成での再現が試みられてきた。映画やテレビCMでの使用例は多数に及ぶが、特定の作品名の網羅的リストは情報不明。いずれにせよ、導入部の電子音と高揚するコーラスはシーン転換や記憶喚起の象徴音像として頻繁に採用されてきた。

現代における評価と影響

Good Vibrationsは、各種オールタイム名曲ランキングで上位に選出されるなど、ポップ史の金字塔として確立。奇抜さに依らず“歌”としても強靭であること、モジュラー構成と精緻な音響設計が両立していることが高く評価される。以後のスタジオ主導型ポップ、サイケデリック~アート・ポップの系譜、さらには電子楽器の表現可能性にも大きな示唆を与えた。多くのアーティストがカバーやライブ・アレンジで継承し、音楽制作における“編集による作曲”の有効性を一般化する契機にもなった。

まとめ

直感的な“良い波動”を歌う普遍的テーマと、革新的なモジュラー制作を結びつけたGood Vibrationsは、ポップ・ソングでありながら録音芸術の金字塔でもある。時代を超えて響くメロディと音色設計は、今日の音楽制作やメディア表現においても参照軸であり続け、名曲の価値を更新し続けている。