Giant Steps
- 作曲: COLTRANE JOHN

Giant Steps - 楽譜サンプル
Giant Steps|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Giant Steps」はジョン・コルトレーン作曲の器楽曲。1959年に録音され、Atlanticから1960年発表のアルバム『Giant Steps』に収録。オリジナル主録音のメンバーはコルトレーン(ts)、トミー・フラナガン(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds)。歌詞はなく、先鋭的ハーモニーで知られる代表作である。
音楽的特徴と演奏スタイル
最大の特徴は、長三度間で配置された三つの調中心(例:B、G、E♭)を循環させる「コルトレーン・チェンジ」。ii–V–Iが高速で連鎖し、短いスパンで完全終止を重ねるため、強固なボイスリーディングと分散和音の運用が不可欠。テンポは非常に速い演奏が多く、明確なガイドトーンとシンコペーションでラインを立てるアプローチが好まれる。
歴史的背景
本作はAtlantic期の探究を示す象徴的成果で、対称的和声の実験が結実した。1959年の録音群は、ハード・バップ以降の語彙を更新し、同時期の「Countdown」などとともに、近代ジャズの作曲・即興の基準を押し広げた。アルバム発売は1960年。
有名な演奏・録音
決定版はコルトレーンの『Giant Steps』(1960)収録テイクと、そのオルタネイト。以後、数多のサックス奏者やピアニスト、ギタリストが取り上げ、コンボからビッグバンド編成まで幅広く録音が残る。具体的な映画などでの使用については情報不明。
現代における評価と影響
今日、「Giant Steps」は教育現場の必修曲として位置づけられ、理論書・レッスン・アナリーゼ記事で継続的に扱われる。メジャー・サード循環は即興語彙を拡張し、ハーモニー理解と運指の両面で高度な訓練効果を持つため、実践と研究の両輪で評価が揺るがない。
まとめ
急速転調と対称性に基づく設計により、本曲はジャズ史の画期を画した。オリジナル録音を出発点に無数の解釈が生まれ、今なお演奏家の創造性と基礎力を測る試金石であり続けている。