Feel Like Makin' Love
- 作曲: MC DANIELS EUGENE B

Feel Like Makin' Love - 楽譜サンプル
Feel Like Makin' Love|歌詞の意味と歴史
基本情報
「Feel Like Makin' Love」は、1974年にロバータ・フラックが発表したシングル。作曲・作詞はユージン・マクダニエルズ(Eugene McDaniels)。全米ビルボードHot 100およびR&Bチャートで1位を獲得し、翌年の同名アルバムにも収録された。メロウで官能的なソウル・バラードで、後のクワイエット・ストーム路線の先駆けとして語られる。アレンジはギターとエレクトリック・ピアノを中心にしたミニマルな伴奏で、親密な歌唱を引き立てる。
歌詞のテーマと意味
タイトルの通り、恋人と愛し合いたいと感じる瞬間を、ささやくような言葉で綴る楽曲。露骨な描写を避けつつ、触れ合い、寄り添う安らぎ、相互の同意と信頼を丁寧に描く。反復するフレーズは親密さと高揚を徐々に積み上げ、日常の中に立ち上る欲望を柔らかく包み込む。フラックの穏やかな声は、欲求を誠実で温かな感情へと昇華させ、夜の静けさに溶け込むムードを生む。結果、単なるラブソングを超え、成熟した関係性のバランスを讃える歌となっている。
歴史的背景
フラックは「やさしく歌って」に続く成功ののち、自主性を強め、本作の制作にも深く関与した(プロデュース名義“Rubina Flake”として関わった事実は広く知られる)。70年代初頭のソウルが洗練へ向かう潮流の中で、本作は都会的で内省的なサウンドを提示し、FMラジオやアダルト・コンテンポラリー市場で強い支持を獲得。発表年は1974年で、同時代のメロウ・ソウルと肩を並べつつ、静かな革新性を示した。
有名な演奏・映画での使用
カバーは多数存在。D’Angeloのヴァージョン(2000)はネオソウル世代の代表的解釈として高評価を得る。ジャズ/フュージョンではBob Jamesのインストゥルメンタル(1974)が知られ、スムースなコード・ワークとグルーヴでスタンダード化。ほか多くの歌手・バンドに取り上げられている。一方、映画での具体的な使用事例は情報不明。
現代における評価と影響
繊細なダイナミクスと余白の美学は、クワイエット・ストームからネオソウル、さらには都会的なポップス文脈まで広く影響。ベッドルーム・ソウルの定番として定着し、DJやプロデューサーはテンポ感やコード進行を参照点として用いる。プレイリスト時代にも適応力が高く、ラウンジ/カフェ系のキュレーションでも定番化。作曲家ユージン・マクダニエルズの職人的ソングライティングは、今日でも再評価が進んでいる。
まとめ
官能と気品を両立させた名曲。シンプルな言葉と洗練のアレンジで普遍的な親密さを描き、時代を超えて愛され続ける。原曲(ロバータ・フラック)、D’Angelo、Bob Jamesの順で聴き比べれば、歌詞の情感からハーモニー、インストのニュアンスへと立体的な理解が深まるはずだ。