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Groovin' High

  • 作曲: GILLESPIE JOHN DIZZY
#スタンダードジャズ
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Groovin' High - 楽譜サンプル

Groovin' High|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Groovin' High」は、トランペッターのディジー・ガレスピーが作曲したビバップ期を代表するジャズ・スタンダード。発表は1945年。1920年のポピュラー曲「Whispering」の和声進行を土台に新しい旋律を載せる“コントラファクト”として書かれ、32小節AABA形式をとる。原曲に歌詞はなく、主にインストゥルメンタルのレパートリーとして演奏されてきた。タイトルどおり軽快でスリリングなグルーヴ感が魅力で、ジャム・セッションの定番として広く親しまれている。

音楽的特徴と演奏スタイル

主題はトランペットとサックスのユニゾンで映える跳躍とクロマチックを組み合わせたラインが特徴。中高速のスウィングで演奏されることが多く、Aセクションは循環するII-V進行、Bセクションで調性が推移する構成。アドリブではターゲット・トーンへのエンクロージャーや、トライトーン・サブ、アッパー・ストラクチャー・トライアドなどの語法が効果的だ。特有のイントロ/アウトロや、テーマ後に短いインタールードを挟むアレンジもよく用いられ、ビバップの言語を学ぶ素材として最適である。

歴史的背景

1940年代半ば、ニューヨークを中心に興ったビバップ運動は小編成による高度な即興を重視し、多くの新曲が既存の進行上に書かれた。「Groovin' High」もその潮流の中で誕生し、複雑化するハーモニーと鋭いリズム感を示す象徴的レパートリーとなった。戦後の録音技術の発展とともに作品は広まり、後進世代に強い影響を与えた。

有名な演奏・録音

最も知られるのはディジー・ガレスピーとチャーリー・パーカーによる1945年の録音で、複数テイクが残されている。以後、トランペットとサックスの双頭編成を中心に、多くの名手がコンサートやスタジオで取り上げ、ライブ盤にも頻繁に収録された。速いテンポでの火花散るコール&レスポンスは、聴きどころとして定番である。

現代における評価と影響

本曲は教育現場やジャム・セッションでの必修曲として定着し、多数のリードシートや教則書に掲載されている。ビバップ語法の実例集として、フレーズ構築やコード・ナビゲーションの訓練に格好の教材であり、レコーディングの歴史は即興の美学を学ぶアーカイブとして価値が高い。配信時代でも再生され続け、入門者から上級者まで幅広く演奏されている。

まとめ

「Groovin' High」は、シンプルな骨格と精緻な旋律が両立したビバップの金字塔。Whispering由来の進行に新鮮なヘッドを与え、1945年以降のモダン・ジャズの語彙を方向づけた。歴史的名演に触れ、形式と和声を理解して臨めば、曲名どおり“グルーヴィー”な高揚を味わえるだろう。