Hard To Say I'm Sorry (素直になれなくて)
- 作曲: CETERA PETER P,FOSTER DAVID W

Hard To Say I'm Sorry (素直になれなくて) - 楽譜サンプル
Hard To Say I'm Sorry (素直になれなくて)|歌詞の意味と歴史
基本情報
Chicagoの大ヒット・バラード。作曲はPeter P. CeteraとDavid Foster、プロデュースもFoster。1982年発表のアルバムChicago 16からの先行シングルで、Billboard Hot 100で1位を獲得。邦題は「素直になれなくて」。アルバムでは終盤でアップテンポの「Get Away」に接続するバージョンが収録され、シングルはバラード部を中心に編集された。繊細なピアノとシンセ、滑らかなストリングス、重層的なコーラスが核となる。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、プライドや恐れから謝れない主人公が、関係修復への本心を告白する内容。過ちの自覚と向き合いながら、相手を所有するのではなく「共にありたい」という意志を明確化していく。静かな語り口から感情が解き放たれる過程は、旋律の高揚とダイナミクスの拡張と連動。最終部での決意表明は、脆さと強さが同居する人間味を浮かび上がらせ、普遍的な共感を呼ぶ。
歴史的背景
1970年代のブラス・ロック期から転機を迎えたChicagoは、80年代に入りDavid Fosterを迎えてAOR/ソフトロック路線へ舵を切る。本曲はその象徴で、ピアノとシンセ主体のサウンド、抑制されたホーン、緻密なボーカル・スタックが特徴。Peter Ceteraの伸びやかなリードとFosterのポップ職人芸が合致し、グループの第二の黄金期を開いた。本作の成功は、以後の作品群にも通底するサウンド設計を決定づけた。
有名な演奏・映画での使用
本曲は1982年公開の映画「Summer Lovers」で使用され、国際的な露出を獲得。1997年にはR&BグループAz YetがPeter Ceteraを迎えてカバーし、再びチャートを賑わせた。Chicago自身のライヴでも長らく定番として演奏され、数多くのベスト盤や80年代ヒット・コンピレーションに収録。アルバム版で「Get Away」へと雪崩れ込む構成は、ステージでも印象的なハイライトとなる。
現代における評価と影響
“謝ることの難しさ”という普遍的テーマを、洗練されたポップ・プロダクションで普及力あるメロディへ昇華した模範例として高評価を得る。ダイナミクスを活かしたアレンジ、後半の転調とコーラスの厚みは、その後のパワー・バラードの設計図となり、AOR/アダルト・コンテンポラリー文脈でしばしば参照される。日本でも邦題とともに広く認知され続ける名曲である。
まとめ
確かなソングライティング、普遍的なテーマ、80年代的プロダクションが高度に結晶した一曲。個人的な後悔と和解への希求を、誰もが口ずさめるポップへと昇華したことで、Chicagoのキャリアのみならず当時のポップ史における到達点を示した。今なお色褪せないスタンダードとして聴かれている。