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First Of May (若葉のころ)

  • 作曲: GIBB BARRY ALAN,GIBB MAURICE ERNEST,GIBB ROBIN HUGH
#洋楽ポップス
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First Of May (若葉のころ) - 楽譜サンプル

First Of May (若葉のころ)|歌詞の意味と歴史

基本情報

「First Of May(若葉のころ)」は、バリー、モーリス、ロビンのギブ兄弟によるビージーズが1969年に発表したバラード。作曲・作詞は3兄弟の連名。オリジナルはアルバム『Odessa』に収録され、同年にシングルとしてもリリースされた。ピアノを中心にストリングスが寄り添う端正なアレンジが特徴で、リード・ボーカルはバリー・ギブ。繊細なメロディと豊かな和声進行が、柔らかなオーケストレーションと溶け合い、グループ初期の叙情性を代表する一曲として知られる。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、子ども時代の記憶と初恋の面影を、季節の移ろいになぞらえて描くノスタルジックな内容。芽吹きの季節を想起させる「若葉のころ」という邦題が示す通り、時間の流れとともに変わりゆく関係や喪失の切なさ、そして淡い希望が静かに交錯する。直接的な叙述よりも、情景と感情の余韻で語るタイプのテキストで、センチメントに寄り過ぎない節度が魅力。ピアノと弦の繊細な受け渡しが言外の感情を補完し、言葉にならない記憶の温度を音楽的に支える。

歴史的背景

発表は1969年。バロック・ポップ的な志向を含む『Odessa』期の作品で、ビージーズがサウンドのスケールを拡張していた時期に位置づけられる。シングル化に際し、本作がA面に選ばれたことは、グループ内の方針をめぐる緊張を生み、当時ロビン・ギブが一時的に離脱する一因となったことでも知られる。商業的にも一定の成功を収め、以後の彼らのバラード表現の礎を固めた。端正なオーケストレーションは、同時代の英ポップにおける弦楽活用の潮流とも響き合う。

有名な演奏・映画での使用

本曲は映画『小さな恋のメロディ』(原題:Melody, 1971)で印象的に用いられ、日本を含む各国で楽曲の知名度を押し上げた。オリジナル音源の存在感はもちろん、多数のアーティストによりカバーも行われているが、網羅的な一覧は情報不明。ピアノ主体のシンプルな編成から、弦を厚く重ねるアレンジまで、解釈の幅が広い点も再演に向く理由といえる。

現代における評価と影響

今日では、ビージーズの初期代表曲の一つとしてプレイリストやラジオで継続的に親しまれている。メロディラインの流麗さと節度あるエモーション、そしてクラシカルな弦の使い方は、以後のポップ・バラードにおける編曲の参照点となった。過度なドラマ性に頼らず、記憶の陰影を音で描くアプローチは、シンガーソングライターや室内楽的ポップにも影響を及ぼし、時代を超えて支持を広げている。

まとめ

「First Of May(若葉のころ)」は、過ぎゆく時間と初恋の記憶を繊細にすくい取ったビージーズの名曲。1969年という転換期の空気をまといながら、優美なメロディと弦の響きで普遍的な感情を描き出す。映画での使用を通じて世代を超えて愛され、いまなおポップ・バラードの確かな基準点として聴かれている。