Tobacco Road
- 作曲: LOUDERMILK JOHN D,LOUDERMILK JOHN D

Tobacco Road - 楽譜サンプル
Tobacco Road|歌詞の意味と歴史
基本情報
1960年、米国のソングライター、ジョン・D・ラウダーミルクが発表した楽曲。本人によるオリジナルののち、1964年に英バンド、ザ・ナッシュヴィル・ティーンズ版が国際的ヒットとなり、曲名を一躍知らしめた。以降、ロック/ブルース文脈で広く歌われる“歌もの”スタンダードである。
歌詞のテーマと意味
歌詞の主人公は米南部の貧しい地域“タバコ・ロード”の出身。粗末な環境に生まれ、家族の不幸を背負いながら、荒れた故郷を嫌悪しつつも「そこが自分の家でもある」という相克に揺れる。街へ出て金を稼ぎ、戻って建て直すと誓う筋立てで、貧困・移動・再生というルーツ音楽の核心を印象的なリフレインで結晶させている。直接的で荒削りな語彙、反復されるフレーズが、救済への希求と負の連鎖を断ち切る意志を強調する。
歴史的背景
“タバコ・ロード”は、タバコ産業で栄えた南部の貧困地区を象徴する語で、作者が育ったノースカロライナの景とも重なる。1960年代初頭の米国では公民権運動の高まりや都市化が進み、農村からの離脱と再出発が社会的モチーフだった。本曲はその時代感覚を映し、ブリティッシュ・ビート以降の荒々しい演奏で世界に広がった。社会変動の只中で個の物語を軸に普遍性を獲得した点が長寿命の理由といえる。
有名な演奏・映画での使用
代表的な録音としては、ザ・ナッシュヴィル・ティーンズ(1964)の荒々しいビートとシャウトが決定版として知られる。以降も多くのアーティストが取り上げ、たとえばデイヴィッド・リー・ロス(1986)による豪快なカバーは80年代的ハードロック解釈の好例。ライブでは長めのブレイクやコール&レスポンスが加えられることも多い。映画での使用については具体的な代表作は情報不明。
現代における評価と影響
今日ではガレージ/ブルース・ロックの定番として、ライブのインプロやコール&レスポンスの素材に重宝される。貧困と誇りの相克を直截に描いた歌詞は今も共感を呼び、ロックの社会性とエネルギーを体現する曲として音楽誌やプレイリストで継続的に語られている。シンプルなコード進行と圧のあるビートは、世代やジャンルを越えたカバーを促し続けている。
まとめ
Tobacco Roadは、個の視点から地域と時代を切り取った名曲。簡潔な言葉と力強いリズムが普遍的な“再生”の物語を支え、半世紀以上にわたり歌い継がれてきた。今後も多様な解釈を生むスタンダードとして位置づけられるだろう。