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Do It Again

  • 作曲: BECKER WALTER CARL,FAGEN DONALD JAY
#洋楽ポップス
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Do It Again - 楽譜サンプル

「Do It Again|歌詞の意味と歴史」

基本情報

「Do It Again」は、ウォルター・ベッカーとドナルド・フェイゲンが手がけたスティーリー・ダンの代表曲。1972年、デビュー作『キャント・バイ・ア・スリル』からのシングルとしてリリースされ、全米ビルボードHot 100で6位を記録した。リード・ボーカルはフェイゲン。ラテン寄りのビートに、シタール風のギター・トーンやオルガンのソロが絡むサウンドが特徴で、ジャズ志向の和声感とポップなフックが共存する初期スティーリー・ダンらしさを端的に示している。

歌詞のテーマと意味

タイトルの“Do It Again(またやってしまう)”が示す通り、歌詞は人間が同じ過ちを反復してしまう循環性を描く。賭け事や復讐、危うい恋愛など、快楽と破滅が表裏一体となった行動を重ねる人物像が断片的なエピソードで提示され、理性では避けたいと分かっていても再びその道に戻ってしまう宿命感が漂う。断定的な教訓や安易な救いは提示されず、クールな語り口と比喩によって、個人的な堕落と社会的モラルのずれがにじむ。結論を曖昧に残すことで、聴き手に自己投影と解釈の余地を与える点もこの曲の魅力だ。

歴史的背景

1970年代初頭、スティーリー・ダンはジャズの語法とロックの質感を洗練されたスタジオ・クラフトで融合し、同時代のウェストコースト・サウンドとは一線を画した。デビュー直後の本曲で既に、緻密なコード運びと都会的な皮肉を帯びたリリック、精密なリズム・アレンジが確立。60年代の理想主義の余韻が薄れ、個人主義と虚無感が交錯する時代空気を、踊れるグルーヴと冷ややかな観察眼でパッケージしたことがヒットの一因となった。

有名な演奏・映画での使用

ラジオやプレイリストでのローテーションは現在も多く、クラシック・ロック文脈で頻繁に取り上げられる。ライブでもバンドの定番曲として演奏され続け、緊張感のあるソロ回しやテンポ感の微調整など、演奏ごとの細部がファンの聴きどころとなっている。一方、特定の映画やドラマでの顕著な使用例については情報不明。カバーや引用は複数存在するが、網羅的なリストや代表的事例の確定情報も情報不明である。

現代における評価と影響

「Do It Again」は、スティーリー・ダン流の知性とグルーヴが初期段階で結晶した名曲として評価が定着。ジャズ由来の和声感、ラテン・フィールを帯びたリズム、クールな語り口は、AOR/シティ・ポップ的な洗練に親和的で、後続世代のソングライティングやプロダクション志向にも影響を与えた。ストリーミング時代でも発見されやすく、入門曲として薦められることが多い一方、歌詞の多義性はリスナーの成熟に応じて読み替え可能で、長く鑑賞に耐える。

まとめ

「Do It Again」は、反復する衝動という普遍テーマを、洗練されたグルーヴと鋭い観察で描いたスティーリー・ダンの出世作。1972年のヒットから半世紀を経ても、その冷静な語りと緻密なアレンジは古びない。歌詞の解釈の余地と演奏的魅力を併せ持つ本曲は、バンド理解の入口であり、同時に何度も“また聴きたくなる”強力なリピート性を備えている。