アーティスト情報なし
A Hazy Shade Of Winter 冬の散歩道
- 作曲: SIMON PAUL

A Hazy Shade Of Winter 冬の散歩道 - 楽譜サンプル
A Hazy Shade Of Winter 冬の散歩道|歌詞の意味と歴史
基本情報
「A Hazy Shade Of Winter(冬の散歩道)」は、Paul Simon作詞作曲、Simon & Garfunkelが1966年に発表したフォーク・ロック曲。英語詞で、のちに1968年のアルバム『Bookends』にも収録された。寒々しい情景描写と、タイトに刻むエレクトリック・ギターのリフが強い印象を残す。日本語題は「冬の散歩道」。オリジナル演奏はデュオのハーモニーとロック的推進力を両立させ、彼らのレパートリーの中でも異色かつ人気の高い一曲として知られる。
歌詞のテーマと意味
歌詞は“冬”を比喩として用い、若き日の理想が色褪せ、時間の無常を実感する語り手の内省を描く。季節の移ろいは、希望と停滞の循環を示し、現実と折り合う苦みと、かすかな再生の兆しを対置。街角や季節のディテールが、心情の陰影を浮かび上がらせる。直接的な恋愛叙情よりも、自己認識、喪失、成熟をめぐる普遍的なテーマが中心で、リフレインの反復が思考の逡巡と焦燥を音楽的にも強化している。
歴史的背景
発表はフォーク・ロックが成熟した1966年。Simon & Garfunkelはアコースティック主体からエレクトリックを取り入れる過程にあり、本曲はその転換を象徴した。全米Billboard Hot 100で13位を記録。緊張感あるギター・リフ、タイトなドラム、重層的コーラスが当時のラジオで強い存在感を放った。のちに『Bookends』に収録され、同アルバムが提示した都市的でシリアスなテーマとも響き合う位置づけとなる。
有名な演奏・映画での使用
最も知られるカバーはThe Bangles(1987)。映画『Less Than Zero/レス・ザン・ゼロ』のサウンドトラック用に録音され、Billboard Hot 100で2位を獲得。原題の冠詞を省いた“Hazy Shade of Winter”名義で、よりハードなギターとスピード感を前面化し、80年代ロックの質感で再解釈した。この映画との結び付きにより、曲は新世代のリスナーへ広く浸透した。その他の映画・番組での使用は情報不明。
現代における評価と影響
本曲は、冬の情景と焦燥を同時に喚起する稀有なロック・クラシックとして評価が高い。オリジナルはデュオの表現領域を拡張した重要作、バングルス版は80年代ロックの象徴曲として聴き継がれている。鋭いリフ、簡潔で記憶性の高い構成、そして普遍的なテーマが時代を超えて機能し、プレイリストやラジオでも安定した支持を獲得し続けている。
まとめ
「冬の散歩道」は、比喩の巧みさと印象的なギター・リフ、そして二つの決定的バージョン(オリジナルとバングルス版)によって半世紀以上親しまれてきた。寒風の中で現実と向き合う感覚を鮮烈に刻みつつ、微かな希望の温度も残す──その二面性が、世代を超えて共感を呼び続ける理由である。