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Buttons And Bows
- 作曲: LIVINGSTON JAY,EVANS RAYMOND B

Buttons And Bows - 楽譜サンプル
Buttons And Bows|歌詞の意味と歴史
基本情報
Buttons And Bowsは、Jay Livingston(作曲)とRaymond B. Evans(作詞)によるポピュラー・ソング。1948年公開の米映画『The Paleface(邦題:腰抜け二挺拳銃)』の主題歌として発表され、同年のアカデミー賞(主題歌賞)を受賞した。レコードではDinah Shoreの録音が大ヒットしたことでも広く知られる。映画発の認知、賞レースでの評価、ラジオ/レコードでの普及という、当時のヒットの王道を歩んだ典型例であり、その後もスタンダードとして長く歌い継がれている。
歌詞のテーマと意味
タイトルの“Buttons and bows(ボタンとリボン)”は、華やかな服飾や都会の洗練の象徴。歌詞は西部の荒野や牧場生活への憧れを軽妙にいなして、ドレスやサテンといった快適で洒脱な世界を選ぶ主体性をユーモラスに描く。西部劇ブームへの親しみを保ちながらも、無骨さより装いと心地よさを選ぶ価値観を茶目っ気たっぷりに提示するところが魅力で、言葉遊びと韻の妙が耳に残る。差別的・暴力的な含意はなく、誰もが口ずさめる軽快さとウィットが前面に出た歌詞構成が特徴だ。
歴史的背景
戦後アメリカで映画産業、ラジオ、レコード市場が拡大した1940年代後半、ハリウッド製の西部劇コメディは大衆娯楽の王道だった。本曲はその潮流の中で、映画の露出を強力な推進力としつつ、ティン・パン・アレー流の職人芸による明快なメロディと覚えやすいフックを備え、発表直後から一気に浸透。アカデミー賞受賞は作品価値の公的なお墨付きとなり、劇場から家庭の電蓄まで、あらゆる場で聞かれる定番へと押し上げた。
有名な演奏・映画での使用
初出映画『The Paleface』で主題歌として用いられた事実が本曲の核である。商業的にはDinah Shoreのシングルが顕著な成功を収め、以後も多くの歌手が取り上げるレパートリーとなった。ジャズ寄りのスウィング解釈から、大編成オーケストラの華やかなアレンジまで幅広く演奏され、番組やコンサートの“オールディーズ”枠でも頻繁に選曲される。映画内での具体的な歌唱場面や担当歌手の細部は情報不明だが、作品と不可分の名テーマである点に異論はない。
現代における評価と影響
今日では、古き良きハリウッドのポップ・ソングを象徴する一曲として定着。西部的イメージと都会的洒落気の対比が時代を超えて通用するユーモアを生み、軽音楽とジャズ・ヴォーカルの橋渡しとしても親しまれている。英語歌詞の韻や語感の好例として研究の題材に挙がることも多く、教育・演奏の双方で扱いやすい標準曲としての地位を保つ。新録や再発が継続すること自体が、その普遍的な魅力と需要の証左と言えるだろう。
まとめ
Buttons And Bowsは、映画発の話題性、職人的ソングライティング、軽快なユーモアという三要素が結晶した不朽の名曲。華やぎを愛でるメッセージと口ずさみやすい旋律が、発表から現在まで幅広いリスナーに支持され続ける理由である。基本情報と歴史的文脈を押さえれば、なぜ本曲が世代を超えて歌い継がれるのか、その説得力がより鮮明に見えてくる。