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Chariots Of Fire (炎のランナー)

  • 作曲: PAPATHANASSIOU EVANGHELOS,VANGELIS
#洋楽ポップス
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Chariots Of Fire (炎のランナー) - 楽譜サンプル

「Chariots Of Fire (炎のランナー)|作品の特徴と歴史」

基本情報

Chariots Of Fire(炎のランナー)は、ギリシャ出身の作曲家ヴァンゲリス(本名:Evangelos Papathanassiou)による映画音楽の代表作。1981年公開の英国映画『炎のランナー』のメインテーマとして制作され、インストゥルメンタル作品で歌詞は存在しません。サウンドトラック収録に加え、シングルとしても発表され世界的に広く知られるようになりました。電子楽器を中核に据えたスコアでありながら、ドラマティックな物語性と普遍的なメロディで、映画音楽の歴史に重要な足跡を残しています。

音楽的特徴と表現

本作の核は、豊かな表情をもつアナログ・シンセサイザー(特にYamaha CS-80)とピアノの対話にあります。穏やかに脈打つオスティナートと広がりのあるリバーブが空間的奥行きを生み、徐々に厚みを増すレイヤーが高揚感へと導きます。旋律はシンプルかつ記憶性が高く、過度な技巧に依存せず、到達感や内面的なカタルシスを喚起。テンポは落ち着いており、持続する和声進行とダイナミクスの緩急が「努力」「克服」「栄光」といった映画の主題を音で映し出します。電子音色ながら冷たさはなく、温かい余韻と人間味が前面に出るのが特徴です。

歴史的背景

映画『炎のランナー』は、1924年パリ五輪に挑んだ英国人短距離選手たちを描いた実話ベースのヒューマンドラマ。公開当時、電子音によるスコアを歴史劇に用いるのは斬新な選択でしたが、ヴァンゲリスの音楽は時代設定と矛盾せず、登場人物の内面や普遍的な感情を普く伝える装置として機能しました。このアプローチは、映画音楽における電子サウンドの可能性を拡張し、後続のフィルムスコアに大きな示唆を与えました。

使用された映画・舞台(該当時)

楽曲は映画の冒頭、砂浜を走る選手たちのスローモーション映像とともに流れ、作品全体のトーンを決定づけました。その後も練習や競技の重要場面で再登場し、物語の節目で感情の推進力を担います。映像と音楽の結びつきが極めて強く、テーマの旋律は観客の記憶に残る映画の象徴的モチーフとなりました。

現代における評価と影響

本作を含む映画音楽はアカデミー賞作曲賞を受賞(1982年)。テーマ曲のシングル盤は1982年に米ビルボード・Hot 100で1位を獲得し、映画音楽として異例のポピュラリティを確立しました。以後、スポーツ中継やイベント、コメディ的パロディまで幅広く引用され、スローモーションの映像表現と結びついた“勝利の記憶”を喚起する定番曲に。ロンドン2012オリンピック開会式でも象徴的に取り上げられるなど、世代を超えて認知度と影響力を保ち続けています。

まとめ

Chariots Of Fireは、電子的サウンドと人間的ドラマを結びつけた先駆的なフィルムスコアです。覚えやすく雄大な旋律、段階的なビルドアップ、映像との強固な結びつきによって、映画の外へも届く普遍性を獲得しました。受賞歴とチャート実績はその影響の広さを示し、今日もスポーツや映像文脈で“努力と栄光”を想起させる音の記号として機能し続けています。