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(How Much Is) That Doggie In The Window (ワンワン・ワルツ)
- 作曲: MERRILL BOB

(How Much Is) That Doggie In The Window (ワンワン・ワルツ) - 楽譜サンプル
「(How Much Is) That Doggie In The Window (ワンワン・ワルツ)|歌詞の意味と歴史」
基本情報
作詞作曲はボブ・メリル(表記:MERRILL BOB)。1950年代初頭に発表され、ノベルティ色の強いトラディショナル・ポップとして広く親しまれた。パティ・ペイジの録音が1953年に米国で大ヒット、リタ・ローザ版は同年の英国チャートで首位を獲得した。日本では「ワンワン・ワルツ」の邦題で知られ、子どもから大人まで口ずさめるポップ・ソングの定番となっている。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、ショーウィンドウの子犬に心奪われた語り手が値段を尋ねるというシンプルな構図。愛らしい存在への憧憬と、家庭的なぬくもりへの願望が核にある。曲中には犬の鳴き声を模した効果音が挿入され、コール&レスポンス的な楽しさを生む。難解な比喩はほぼなく、情景が直感的に浮かぶ語り口により、リスナーは「欲しい」という素朴な感情と微笑ましいユーモアを共有できる。
歴史的背景
第二次大戦後のアメリカでは、家庭志向と娯楽志向が高まり、ラジオやテレビのバラエティ番組でノベルティ・ソングが人気を博した。本作はそうした潮流に合致し、軽快で覚えやすいメロディとユーモアで多世代に浸透。45回転シングル市場の拡大も後押しとなり、短時間で印象を残すポップ・ソングの作法を体現した。子犬という普遍的モチーフが時代の楽観ムードとも響き合った点も成功要因である。
有名な演奏・映画での使用
代表的な録音はパティ・ペイジ版(1953)とリタ・ローザ版(1953)。以降も童謡寄りのアレンジからジャジーな解釈まで多数のカバーが生まれ、犬の鳴き声をどう表現するかが演出上の肝となってきた。具体的な映画での使用記録は情報不明だが、テレビ番組やステージで引用される例はある。網羅的な使用リストや権利関係の詳細も公的資料は情報不明である。
現代における評価と影響
今日では1950年代を象徴するノスタルジックな一曲として言及され、親しみやすいメロディは教育・キッズ向けレパートリーにも定着。一方で、ペットショップでの購入を前提とする内容に対し、保護犬・譲渡の観点から再解釈する動きや議論も見られる。それでも、日常の小さな喜びを軽やかに描くスタイルと、効果音を活かした演出は、ポップ・ソングにおける語りと音響の関係を示す好例として評価が続いている。
まとめ
「ワンワン・ワルツ」は、ボブ・メリルの職人技が光るユーモアと温もりのポップ・チューン。覚えやすい旋律、効果音の遊び心、家庭的情景のわかりやすさが時代を超えて機能し、今なお多くのカバーやリスナーに支えられている。背景や価値観の変化を踏まえて聴くことで、20世紀中葉の大衆音楽が持つ包容力と機知がいっそう鮮明に立ち上がる。