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Don't Be Cruel
- 作曲: BLACKWELL OTIS,PRESLEY ELVIS

Don't Be Cruel - 楽譜サンプル
Don't Be Cruel|歌詞の意味と歴史
基本情報
「Don't Be Cruel」は、Otis Blackwell と Elvis Presley 名義の共作として1956年に発表されたロックンロール曲。主唱はエルヴィス・プレスリー、レーベルはRCA Victor。1956年7月、ニューヨークのRCAスタジオで録音され、コーラスにThe Jordanairesが参加した。7インチ・シングルは「Hound Dog」とのカップリング(ダブルA面扱い)で発売され、エルヴィスの初期を代表する決定的ヒットとなった。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、恋人に向けて「意地悪しないで」と優しく懇願し、誤解やすれ違いを解いて関係を修復したいというまっすぐな想いを語る。自尊心に固執せず相手の心に寄り添う姿勢が核で、短いフレーズの反復と覚えやすいフックが感情の切実さを増幅。リズムに乗るコール&レスポンス風の掛け合いと、柔らかなコーラスがメッセージの温度感を支える。過度なドラマではなく、日常の恋の機微を普遍的に描いた点が長く愛される理由となっている。
歴史的背景
ロックンロール隆盛期の1956年、RCA移籍後のエルヴィスはテレビ出演や全米ツアーで爆発的な人気を獲得。本曲はBillboardのポップ、R&B、カントリー主要チャートで首位を獲得し、ポップ部門では通算11週の全米1位を記録するなど空前の成功を収めた。歯切れのよいビートと甘いボーカル、白人と黒人音楽の感覚が交差するサウンドは、当時の若者文化の象徴となり、シングル市場のダイナミズムを体現したトラックとして位置づけられる。
有名な演奏・映画での使用
エルヴィスは1956年のテレビ番組(The Ed Sullivan Showなど)で本曲を披露し、国民的ヒットに押し上げた。ステージではThe Jordanairesのコーラスとともに、軽やかなグルーヴで観客を魅了。カバーでは、Cheap Trickが1988年にヒットさせ、世代を超えて再評価を促した。エルヴィスの70年代公演でも定番曲として歌われ、ライブ・レパートリーの中核を占めた。映画での具体的な使用作品名は情報不明。
現代における評価と影響
「Don't Be Cruel」は、端正なメロディとシンプルな語り口、コーラスの配合が生む親しみやすさで、ロックンロールの古典として定位置を確保している。ロカビリー的な推進力とポップな洗練を併せ持つ作りは、その後のティーン・ポップやカントリー寄りポップスにも波及。今日もカバーやテレビ・ステージで取り上げられ、往年のサウンドを手掛かりに新しい解釈が試みられている。名曲としての存在感は、時代を超えて安定して高い。
まとめ
恋の機微を率直に綴った「Don't Be Cruel」は、1956年の空気を閉じ込めながらも、今なお普遍的に響く名曲だ。軽快なビートと温かなコーラス、忘れがたいフックが、時代や世代を超えて聴き手の心に届く。エルヴィスの魅力とポップ・ソングライティングの妙が結晶した一曲として、これからも聴かれ続けるだろう。