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Against All Odds (Take A Look At Me Now)
- 作曲: COLLINS PHIL

Against All Odds (Take A Look At Me Now) - 楽譜サンプル
Against All Odds (Take A Look At Me Now)|歌詞の意味と歴史
基本情報
『Against All Odds (Take A Look At Me Now)』は、Phil Collinsが作曲・作詞・歌唱した1984年のバラード。映画『Against All Odds(邦題:カリブの熱い夜)』の主題歌として発表され、サウンドトラックに収録された。全米Billboard Hot 100で1位を獲得し、翌年のグラミー賞で最優秀男性ポップ・ボーカル・パフォーマンスを受賞。アカデミー賞とゴールデングローブ賞の主題歌賞にもノミネートされた。
歌詞のテーマと意味
曲は別離後の喪失と未練、そして最後の望みに賭ける切実な心情を描く。タイトルの“Against All Odds”は「万難を排して」「不利を承知で」という意味で、復縁の可能性が極めて低い状況でも相手に自分の今を見てほしいというメッセージを凝縮している。静かな独白から高揚するサビへと感情がスケールアップし、諦めと希望のせめぎ合いをダイナミックに表現。私小説的な視点と普遍的な別れの情景が結びつき、聴き手の体験に重なる普遍性を獲得している。
歴史的背景
監督テイラー・ハックフォードの依頼でコリンズが手持ちの未発表素材を再構成して完成させたと言われる。離婚を経験した時期の心情が反映された作品として知られ、ソロ初期の作家性と80年代英国ポップのサウンドメイクが結実。1984年のリリース後、映画のヒットと相乗効果で世界的に浸透し、コリンズのソロ・キャリアを象徴する楽曲の一つとなった。
有名な演奏・映画での使用
映画『カリブの熱い夜』のクライマックスを支える主題歌として強い印象を残し、その後もテレビ番組やコンサートでたびたび披露。1985年のLive Aidではピアノ弾き語りで演奏し、情感の深さを示した。カバーも多く、マライア・キャリーが1999年に披露し、2000年にはウェストライフとのバージョンが英国で首位を獲得するなど、次世代アーティストにも歌い継がれている。
現代における評価と影響
ゲート・リバーブの効いたドラム、ピアノとシンセ、ストリングスが織りなす“80年代的パワー・バラード”の代表格として位置づけられる。コリンズの伸びやかな高音とブレイクでのダイナミクス設計は、後続のポップ/ロック・バラードの歌唱法とアレンジの参照点となった。カラオケやオーディション番組でも定番化し、大衆的な共感と技術的な指標の両面で現在も重要な楽曲であり続けている。
まとめ
『Against All Odds』は、個人的な痛みを普遍的な物語へ昇華し、映画音楽とポップスの交差点で歴史的成功を収めた名曲である。緻密なダイナミクス、エモーショナルな歌唱、覚醒感のあるクライマックスが三位一体となり、年代を超えて心に届く。今なお多くのカバーとともに評価が更新される、フィル・コリンズの金字塔的バラードだ。