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ルージュの伝言

  • 作曲: 荒井由実
#松任谷由実#邦楽ポップス
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ルージュの伝言 - 楽譜サンプル

「ルージュの伝言|歌詞の意味と歴史」

基本情報

「ルージュの伝言」は荒井由実による作詞・作曲のポップソング。発表は1975年で、アルバム『COBALT HOUR』収録曲として広く知られる。小気味よいビートと印象的なメロディが特徴で、発表当時からラジオやテレビで頻繁に取り上げられ、今日に至るまで定番曲として位置づけられている。荒井由実はのちに松任谷由実として活動名を変えるが、本作は荒井名義時代の代表的ナンバーの一つであり、彼女の都会的なソングライティングを示す名刺代わりの楽曲と言える。

歌詞のテーマと意味

歌詞は都会に生きる若い女性の軽やかな感情とユーモアある語り口で進み、恋の駆け引きや噂話をめぐる小さなドラマを描く。タイトルの“ルージュの伝言”というフレーズが象徴するように、口紅=ルージュにまつわるメッセージ性がキー・モチーフとなり、軽快なサウンドと呼応して明るくも少し挑発的なムードを醸す。切実な告白ではなく、ウィットとスピード感で関係性を描く点に都会的センスが表れ、聴き手は物語性とキャッチーさの両方を楽しめる。具体的な台詞やストーリーはあくまで聴き手の想像に委ねられており、過度な解釈を排しても十分に魅力が伝わる構造だ。

歴史的背景

1970年代半ばの日本では、フォークから派生した“ニューミュージック”が台頭し、作家性とポップスの融合が進んでいた。荒井由実はその潮流の中心的存在で、洋楽的センスを日本語ポップスへ自然に移植。本曲も当時の空気を反映し、洗練されたコード感と軽やかなビートで時代の気分を体現した。カジュアルで洒落た都会感は、歌謡曲と洋楽志向の橋渡しとして機能し、以後のJ-POPの基盤形成に寄与した点で歴史的意義がある。

有名な演奏・映画での使用

本曲は1989年公開のスタジオジブリ作品『魔女の宅急便』でオープニング主題歌として採用され、公共の場での露出が増加。映画の成功とともに楽曲は新しい世代にも広く浸透し、リバイバル的な支持を獲得した。映画版で用いられたのは荒井由実本人の音源で、当時のサウンドがそのままスクリーンで息づいている。カバーや別バージョンの詳細は情報不明だが、映像との結びつきにより“国民的ポップス”としての存在感が強化された。

現代における評価と影響

今日ではプレイリストやカラオケでも定番化し、世代やシーンを超えて親しまれる。短いフレーズで耳を捉える旋律、鮮やかなタイトル、歯切れ良いリズムは、現代ポップのフック作りにも通じる普遍性を示す。映像・広告で想起される“明るいレトロ感”の参照源としても機能し、70年代ポップスの魅力を現代に伝えるハブとなっている。

まとめ

「ルージュの伝言」は、洗練されたメロディと都会的な語り口で1970年代の空気を封じ込めた名曲である。映画『魔女の宅急便』での再注目を経て、今もなお色褪せないポップスのスタンダードとして愛され続ける。歌詞の物語性を強く押し出しすぎず、想像の余白と音の心地よさで魅了する本作は、J-POPの普遍的価値を示す好例と言える。