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Love Story(Where Do I Begin)(ある愛の詩)
- 作曲: LAI FRANCIS ALBERT

Love Story(Where Do I Begin)(ある愛の詩) - 楽譜サンプル
「Love Story(Where Do I Begin)(ある愛の詩)|作品の特徴と歴史」
基本情報
「Love Story(Where Do I Begin)(ある愛の詩)」は、作曲家フランシス・レイ(LAI FRANCIS ALBERT)が1970年公開の米映画『ある愛の詩(Love Story)』のために書いた主題曲。映画ではインストゥルメンタルとして用いられ、その後カール・シグマンの作詞により英語詞版(“Where Do I Begin?”)が生まれ、歌唱曲としても広まった。旋律の印象性と親しみやすさから、映画音楽の代表的ラブテーマとして定着している。
音楽的特徴と表現
ピアノとストリングスを中心に、静かな導入から豊かなクレッシェンドへ至る流れが特徴。息の長い旋律線と緩やかなフレーズの呼吸が、繊細な郷愁と大きな情緒のうねりを両立させる。和声は過度に複雑ではなく、明瞭な進行でメロディの輪郭を前面に出すため、編曲の自由度が高い。室内楽的な親密さからオーケストラの厚みまで、編成の規模に応じて感情のスケールを自在に拡張できる点が、映画のドラマ性を強く支えている。
歴史的背景
1960年代後半から70年代初頭にかけて、叙情性の高いテーマ曲が映画のイメージを決定づける傾向が強まった。本作はその象徴例で、登場人物の心情に寄り添う旋律が作品全体の感情的な核となった。フランシス・レイは『男と女』などで知られ、ロマンティックな旋律作法に定評があり、本作でもその資質が存分に発揮された。映画音楽としての完成度は高く、楽曲自体が独立して鑑賞に耐える点も評価されている。
使用された映画・舞台(該当時)
本曲はアーサー・ヒラー監督の映画『ある愛の詩』(主演:アリ・マッグロー、ライアン・オニール)の主題曲として使用。物語の重要場面でリフレイン的に現れ、主人公たちの関係性と時間の流れを音楽的に繋ぐ役割を果たした。テーマの再現は過度に饒舌ではなく、必要な瞬間に感情を引き上げる節度があり、映像と言葉を補完する“第3の語り手”として機能している。
現代における評価と影響
映画公開後、主題曲は独立して演奏・録音され、歌詞版を含め多数のアーティストに取り上げられた。インストゥルメンタルではオーケストラやイージーリスニング系のアレンジが定番化し、コンサートのポップス・プログラムでも頻繁に採用される。歌唱版はアンディ・ウィリアムスらの録音で広く知られ、世代を超えて楽曲の知名度を支えている。現在も映画音楽名曲集や追悼・記念公演などで選曲される機会が多い。
まとめ
「Love Story(ある愛の詩)」は、わかりやすくも深い情感を湛えた旋律、編成を問わず映える設計、映画の物語性を高める機能性を兼備した名テーマ。映画音楽として生まれ、歌詞版の普及でさらなる生命を得た本曲は、今日に至るまで“ロマンティックな映画音楽”の代名詞的存在であり続けている。