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Aquarius/The Flesh Failures
- 作曲: MAC DERMOT GALT

Aquarius/The Flesh Failures - 楽譜サンプル
「Aquarius/The Flesh Failures|歌詞の意味と歴史」
基本情報
「Aquarius/The Flesh Failures」は、ロック・ミュージカル『ヘアー』の二曲「Aquarius」と「The Flesh Failures(Let the Sunshine In)」を連結した楽曲。作曲Galt MacDermot、作詞James Rado/Gerome Ragni。1967年初演。前者は序曲、後者は終幕を担い、のちにメドレーとして広く親しまれた。
歌詞のテーマと意味
「Aquarius」は“水瓶座の時代”を掲げ、愛と調和の新時代を宣言する。「The Flesh Failures」は戦争と分断の挫折を描き、終盤「Let the Sunshine In」で共同体的希望のコーラスへ。理想と現実の対置が物語を駆動する。舞台文脈では、プロローグの高揚とフィナーレのカタルシスが呼応し、観客の参加意識を喚起する構造になっている。
歴史的背景
1960年代後半のアメリカは公民権運動と反戦運動が渦巻く転換期。『ヘアー』はその空気をロックやゴスペルの語法で舞台化し、ブロードウェイの常識を更新した。本曲は反復する合唱とビートで、スローガンを音楽的エネルギーへ変換した。サイケデリックな音響、コール&レスポンス、集団合唱などが時代精神を体現する。
有名な演奏・映画での使用
1969年、The 5th Dimensionが「Aquarius/Let the Sunshine In」として大ヒットさせ、曲名が世界的に浸透。舞台録音はオリジナル・ブロードウェイ・キャスト盤が代表的。映画ではミロシュ・フォアマン監督『ヘアー』(1979)で印象深く用いられた。合唱やゴスペル編成、ブラスを強調するポップ・アレンジなど、多数のカバーが生まれている。
現代における評価と影響
今日、本曲は1960年代カウンターカルチャーの象徴的サウンドとして参照される。祝祭的コーラスは合唱やイベントで親しまれ、世代を超えて“希望を呼び込む”イメージを保ち続ける。舞台再演や新録音ではテンポ感やハーモニーの刷新が試みられ、メッセージの普遍性と今日的な響きが再確認されている。
まとめ
二曲のコントラストが時代の痛みと未来への希求を一体化させた。ミュージカルの核にしてポップ史の重要作として、いまも再演と再解釈が続く。作品の起点と終点を結ぶこのメドレーは、舞台を越えて普遍的なアンセムとして息づいている。