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Nardis
- 作曲: DAVIS MILES

Nardis - 楽譜サンプル
Nardis|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Nardis」は、マイルス・デイヴィス(クレジット:DAVIS MILES)作曲のジャズ曲。初出は1958年、キャノンボール・アダレイのアルバムで録音された器楽曲で、歌詞は存在せず、現在は広くジャズ・スタンダードとして認知されている。デイヴィス本人は本作を公式録音していない点も特筆される。
音楽的特徴と演奏スタイル
短調を基調としたモーダルな素材を持ち、東洋・地中海風の陰影を感じさせる旋律が印象的。和声の動きを控えめにし、ペダル・ポイント上でスケール志向の即興を展開しやすい設計のため、ソロの自由度が高い。ピアノでは長いソロ・イントロやルバートの序奏、ドラムではダイナミクスの大きな起伏が映え、ミディアム〜アップの4ビートから自由度の高いアプローチまで解釈の幅が広い。
歴史的背景
作曲年の1958年は、ジャズがコード進行中心からモード志向へと舵を切りつつあった転換期。本曲はその流れを端的に示すレパートリーの一つで、翌年のKind of Blueへ至る文脈とも響き合う。デイヴィスは録音していないが、当時の盟友ビル・エヴァンスがレパートリーとして深め、以後の受容に大きく寄与した。
有名な演奏・録音
初録音はキャノンボール・アダレイ『Portrait of Cannonball』(1958)。決定的名演としては、ビル・エヴァンス・トリオ『Explorations』(1961、Riverside)での解釈が知られ、スコット・ラファロ、ポール・モチアンとの緊密なインタープレイが聴ける。その後のライヴ録音でもしばしば取り上げられ、拡張されたイントロと長尺の即興で楽曲の可能性を更新していった。
現代における評価と影響
今日「Nardis」は、モーダル即興の教材的価値と演奏自由度の高さから、セッションや音楽教育で定番化。ピアニストやギタリストにとっては音色・ダイナミクス・フォーム運用の総合力を示す舞台となり、録音・配信の場でも定期的に再演され続けている。
まとめ
異国情緒を帯びた主題と広い即興余白を併せ持つ「Nardis」は、誕生から半世紀以上を経ても色褪せないジャズ・スタンダード。初録音とエヴァンスの名演を入口に、さまざまな解釈を聴き比べたい。