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What Now My Love (そして今は)
- 作曲: BECAUD GILBERT FRANCOIS LEOPOLD

What Now My Love (そして今は) - 楽譜サンプル
What Now My Love (そして今は)|歌詞の意味と歴史
基本情報
What Now My Love(邦題: そして今は)は、フランスの名曲「Et maintenant」を原曲とするポップ・バラード。作曲はギルバート・ベコー(Gilbert Bécaud)、原詞はピエール・デルノエ(Pierre Delanoë)、英語詞はカール・シグマン(Carl Sigman)。1961年にフランス語版が発表され、その後英語版が世界的なレパートリーへ拡大した。叙情性の高いメロディとドラマティックな展開が特徴で、シャンソンの血脈を引く普遍的な失恋歌として知られる。
歌詞のテーマと意味
歌詞の核は、別離後に取り残された語り手の虚無と問いかけ。「これから自分はどう生きればよいのか」という不安と喪失感が、切迫した反復と高揚で描かれる。希望や再起を断ち切るような表現が多く、愛の終わりが世界の終わりにも等しいという感覚が全編を支配。比喩は直截的で、内面の空洞化と孤独を強く印象づける。抒情的ながら甘さに寄らず、感情の最深部を真っ向から映し出す点が、世代や言語を超えて共感を呼び続ける理由である。
歴史的背景
戦後フランスのシャンソン黄金期に活躍したベコーは、胸に迫る旋律と劇的な構成で国際的評価を獲得。本作はその代表例で、原曲「Et maintenant」が成功を収めたのち、英語詞の追加で欧米のポップ市場へ広がった。1960年代は欧州発の楽曲が英語圏で再解釈される潮流が強まり、本曲もそのクロスオーバーを象徴する存在となる。ステージ映えする構成のため、ラジオだけでなくテレビやコンサートのレパートリーとして定着した。
有名な演奏・映画での使用
シャーリー・バッシーの圧倒的な歌唱、フランク・シナトラのステージ・アレンジ、ソニー&シェールのポップな解釈など、多様な名演が知られる。エルヴィス・プレスリーは「Aloha from Hawaii」公演で披露し、ドラマティックな到達点を示した。インストゥルメンタルではハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラスが代表的。映画での特定の使用については情報不明。多彩なアーティストにより、テンポやキー、オーケストレーションが自在に変奏されてきた。
現代における評価と影響
本曲は“失恋の決定版”として、ポップスからジャズ寄りの歌唱まで幅広い歌手が取り上げるスタンダード的地位を得ている。日本でも「そして今は」の表記で紹介され、リサイタルやコンテストでの定番曲として存在感が大きい。明瞭な旋律線とクレッシェンド主体の構成は、編曲者にとって表現幅が広く、現代でも新録が途切れない。配信時代においても名唱の聴き比べが容易になり、解釈の更新が続いている。
まとめ
What Now My Love(そして今は)は、シャンソン由来のメロディと普遍的な失恋のテキストが結びついた不朽の名曲。原曲の情感と英語版の普及力が相まって、時代やジャンルを横断するレパートリーとして君臨する。名唱の蓄積が作品価値を高め続け、初めて聴く人にも深い感情のうねりを伝える力を保ち続けている。