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Footprints

  • 作曲: SHORTER WAYNE
#スタンダードジャズ
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Footprints - 楽譜サンプル

Footprints|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Footprints」は、サックス奏者ウェイン・ショーターによるインストゥルメンタル曲で、今日ではジャズ・スタンダードとして広く演奏される。初出はBlue Noteレーベルのアルバム『Adam’s Apple』収録の録音で、のちにマイルス・デイヴィス・クインテットによる演奏でさらに普及した。歌詞付きの公的な版は確認されておらず、作詞者は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

12小節のマイナー・ブルースを基調としつつ、モーダルな発想と自由度の高いハーモニー運用が特徴。シンプルな主題の背後で、ベースのオスティナート風フレーズが脈動し、6/4と3/4が揺らぐようなポリリズムが生まれる。終盤には半音階的に下降するドミナントの進行が使われ、緊張感あるターンアラウンドを形成。テンポは中庸からややスローで、対話的なインタープレイが映える。

歴史的背景

作曲時期は1960年代半ば。ショーターは当時ブルーノートのリーダー作と並行して、マイルス・デイヴィス“第二期クインテット”の中核として活動し、ポスト・バップ以降の新しいリズム感と和声語法を切り拓いていた。その探究の成果が結晶した一曲として「Footprints」は位置づけられる。

有名な演奏・録音

・ウェイン・ショーター『Adam’s Apple』の初演盤。メンバーはHerbie Hancock(p), Reggie Workman(b), Joe Chambers(ds)。端正で余白の多いアプローチが原典となった。・マイルス・デイヴィス『Miles Smiles』の演奏では、Ron Carter(b)の推進力とTony Williams(ds)の大胆なポリリズムが際立ち、曲の可能性を決定的に拡張した。いずれも代表的録音として参照され続けている。

現代における評価と影響

本曲はジャズ教育現場でも頻出し、ジャム・セッションの定番。マイナー・ブルースの枠組みに、メトリック・モジュレーションやモーダルな即興を重ねる練習題材として最適で、管・ピアノ・ベース・ドラム各パートに明確な学習ポイントを提供する。現代の奏者は拍節の解体や再構築を通じて、曲の骨格を保ちながら多様な解釈を提示している。

まとめ

「Footprints」は、簡潔な主題と柔軟な構造が、時代を越えて創造的演奏を誘発する稀有な楽曲である。ショーター盤の静謐さと、マイルス・クインテット盤のダイナミズムという二極を聴き比べれば、曲の核と拡張の両面が鮮明に理解できるだろう。