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I Thought About You

  • 作曲: VAN HEUSEN JIMMY, MERCER JOHN H
#スタンダードジャズ
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I Thought About You - 楽譜サンプル

I Thought About You|楽曲の特徴と歴史

基本情報

I Thought About Youは、作曲ジミー・ヴァン・ヒューゼン、作詞ジョン・H・“ジョニー”・マーサーによる1939年の作品。グレイト・アメリカン・ソングブックを象徴するジャズ・スタンダードとして、発表以来多くの歌手とジャズ・ミュージシャンに愛奏されてきた。列車での旅路を背景に、大切な人を思い続ける心情を描いた歌詞が特徴で、叙情性と映像的な語り口が魅力。ボーカル曲として生まれたが、旋律と和声進行の美しさからインストゥルメンタルでも頻繁に取り上げられる。

音楽的特徴と演奏スタイル

一般に32小節のAABA形式で演奏されることが多く、抒情的なAセクションと、和声的な推進力を持つBセクションの対比が明快。テンポはバラードからミディアム・スウィングまで幅広く、歌手は語り口を生かしたレガートと間合い(スペース)で物語性を強調する。伴奏はブラシ中心のスウィング、ピアノ・トリオの繊細なコンピング、あるいは控えめなホーン・アレンジが定番。アドリブではii–V進行に沿ったリリカルなメロディ構築が映え、楽曲の余韻を損なわない抑制と歌心が鍵になる。

歴史的背景

スウィング時代の成熟期に生まれ、都会的なロマンスと移動の風景を交差させるマーサーの言葉運びが共感を呼んだ。出版後まもなくビッグバンドやポピュラー歌手に広く録音され、戦後はモダン・ジャズの文脈でも定着。ボーカル曲でありながら、ハーモニーの滑らかな流れとメロディの懐の深さがインスト解釈を促し、世代やスタイルを超えて受け継がれてきた。初演や初出メディアの詳細は情報不明だが、1939年以降のスタンダード化は確実である。

有名な演奏・録音

フランク・シナトラ、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、トニー・ベネット、チェット・ベイカーなど、名だたる歌手がレパートリー化。ジャズ・インストではマイルス・デイヴィスをはじめ、多くのトランペッターやピアニストが抒情的なバラードとして録音している。各演奏はテンポ設定やイントロ、エンディングの趣向で個性を示しつつ、原曲の物語性を損なわない節度が共通点。特定アルバム・年次の網羅的情報はここでは情報不明だが、名演は多数に上る。

現代における評価と影響

現在もジャム・セッションやジャズ教育の現場で頻出。歌詞のイメージが明確なためボーカリストのストーリーテリング入門曲として、またシンプルなコード進行上で歌心あるフレージングを磨く教材として重宝される。配信時代でもプレイリスト常連のスタンダードであり、新録も途絶えない。映画・ドラマでの使用例の詳細は情報不明だが、都会的でノスタルジックな気分を醸す楽曲として選ばれやすい。

まとめ

I Thought About Youは、旅の情景と恋情を繊細に結びつけた言葉、そして歌っても吹いても映える普遍的なメロディによって、時代を超える魅力を放つ。形式は端正でありながら解釈の余地が広く、演奏者の感性が鮮やかに反映される。今後もジャズ・シーンの核となるレパートリーであり続けるだろう。