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If I Should Lose You

  • 作曲: RAINGER RALPH, ROBIN LEO
#スタンダードジャズ
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If I Should Lose You - 楽譜サンプル

If I Should Lose You|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「If I Should Lose You」は、作曲ラルフ・レインジャー、作詞レオ・ロビンによる楽曲で、1936年発表。原詞は英語の恋愛歌で、ボーカル曲としても器楽曲としても広く演奏されるジャズ・スタンダードに数えられる。初演の場や映画での初出情報は現時点では情報不明。歌詞は、最愛の人を失うかもしれない不安と、その存在の大きさを静かに見つめる内容で、内省的な情感が特徴である。

音楽的特徴と演奏スタイル

滑らかな歌唱線と印象的な跳躍を併せ持つ旋律が魅力。和声は機能和声を基盤にII–V進行や転調感を織り込み、リハーモナイズの自由度が高い。テンポ設定はバラードからミディアム・スウィングまで幅広く、ボーカルは語り口重視、器楽は抒情的バラードやビバップ的アプローチが定番。キーやイントロ/エンディングの扱いは編成や解釈に応じて柔軟に変えられる。歌詞を扱う場合は子音の明瞭さとブレス位置が表現の要となる。

歴史的背景

本作はアメリカン・ソングブック期に生まれ、映画音楽やポピュラー分野で活躍したレインジャー&ロビンのコンビを代表する一曲として、戦後のジャズ・シーンで定着した。出版と録音の流通により、歌手と器楽奏者の双方に受け継がれ、レパートリーとして広がった。特定の舞台・映画での最初の使用状況は情報不明だが、スタンダード集や教育現場に取り入れられたことで普及が加速した。

有名な演奏・録音

決定版としてしばしば挙げられるのが、Charlie Parker with Strings による抒情的な録音で、ストリングスが旋律の美を際立たせた。そのほか、多数の歌手・サックス奏者・ピアニスト・ギタリストが録音しており、世代や編成を超えて名演が存在する。代表的な映画やドラマでの顕著な使用例は情報不明だが、スタジオ録音とライヴ双方で継続的に取り上げられている。

現代における評価と影響

現在もジャム・セッションやライブで頻出する定番。歌心に富む旋律と明快な和声進行が共存し、アドリブ学習やアレンジ研究の教材としても有用である。ボーカルは歌詞のニュアンスとフレージング、器楽は間合い・音色・ダイナミクスの設計を重視することで、楽曲の情感がより鮮明になる。テンポやハーモニーの再構築が映えるため、現代的なリハーモナイズやメトリック・モジュレーションとの相性も良い。

まとめ

愛する人を失うかもしれない不安と愛情の深さを描く本曲は、解釈の幅と普遍性を兼ね備えたジャズ・スタンダードである。まずはバラードで旋律の息遣いを大切にし、慣れたらミディアムで和声の流れを探ると、アドリブと伴奏の設計が明確になり、曲の本質に近づける。確かな旋律美と和声の懐の深さが、今も演奏者と聴き手を惹きつけてやまない。