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But Beautiful

  • 作曲: VAN HEUSEN JIMMY, BURKE JOHNNY
#スタンダードジャズ
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But Beautiful - 楽譜サンプル

But Beautiful|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『But Beautiful』は、作曲ジミー・ヴァン・ヒューゼン、作詞ジョニー・バークによる1947年のバラード。映画『Road to Rio』で紹介され、以後ジャズ・スタンダードとして定着した。多くの版で32小節のAABA形式として扱われ、歌唱・器楽の双方で演奏される。原題表記は“But Beautiful”。

音楽的特徴と演奏スタイル

穏やかなテンポのバラードで、旋律は段階進行と飛躍を織り交ぜ、句末に柔らかな解決感をもたらす。和声はII-V進行を軸に、経過的なセカンダリー・ドミナントや半音階的な内声進行が現れ、9thや13thなどのテンションが映える。イントロにルバートを置き、主題で4ビートに移る構成や、ブリッジでのリハーモナイズも定番。歌詞は愛の多面性を静かに見つめる内容で、過度な装飾よりフレージングと間合いが表現の鍵となる。

歴史的背景

ヴァン・ヒューゼンとバークはビング・クロスビー主演作を中心に数多くの映画音楽を手がけ、本曲もその流れの中で誕生。1940年代後半のアメリカ映画黄金期におけるロマンティック・バラードの典型として広まり、ライブ・クラブ文化の成熟とともにジャズの現場へ浸透した。

有名な演奏・録音

映画での紹介者はビング・クロスビー。ビリー・ホリデイは『Lady in Satin』(1958)で情感豊かな名唱を残した。スタン・ゲッツとビル・エヴァンスの共演盤『But Beautiful』(欧州ライヴ、録音1974)では、器楽バラードとしての魅力が前景化される。以後も多くの歌手やジャズ・プレイヤーがレパートリーに加えている。

現代における評価と影響

今日でもボーカル/インスト双方の教材・レパートリーとして頻繁に取り上げられ、バラード表現やリハーモナイズの研究素材として重宝される。繊細な歌詞と普遍的な和声骨格は、編曲の幅を許しつつ原曲の品格を保つため、ステージからレコーディングまで採用例が多い。

まとめ

『But Beautiful』は、映画発の名曲として誕生し、ジャズ・スタンダードへ昇華した代表例。シンプルで奥行きのある旋律と柔軟な和声が、時代や編成を超えて演奏者の解釈を受け止める。初聴の入門曲としても、表現を磨く上級者の教材としても価値が高い。