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We May Never Love Like This Again(タワーリングインフェルノ)
- 作曲: HIRSCHHORN JOEL

We May Never Love Like This Again(タワーリングインフェルノ) - 楽譜サンプル
We May Never Love Like This Again(タワーリングインフェルノ)|歌詞の意味と歴史
基本情報
「We May Never Love Like This Again」は、1974年公開の映画『タワーリング・インフェルノ』の主題歌。作曲はJoel Hirschhorn(共作者にAl Kasha、作詞も両名の共同)。歌唱はモーリン・マクガヴァン。第47回アカデミー賞(1975年)で歌曲賞を受賞したことで広く知られる。映画全体のスコアはジョン・ウィリアムズが担当し、本曲はラブ・テーマとして機能した。初出年は1974年、シングルとしても流通したが、詳細なチャート成績やレーベル情報は情報不明。
歌詞のテーマと意味
タイトルが示す通り「二度と同じようには愛せないかもしれない」という一回性を軸に、いま目の前にある愛情の尊さを静かに確かめる内容。大仰な誓いではなく、刹那を受け止める成熟したまなざしが核となる。ディザスター映画という文脈では、予測不能な運命のなかで交わされる親密さが強調され、儚さと希望が同居する余韻を残す。過度な劇性ではなく、穏やかなメロディと抑制的な言葉が、聴き手それぞれの人生経験に重ね合わせやすい普遍性を生んでいる。
歴史的背景
1970年代は大作ディザスター映画が隆盛し、主題歌が物語の情感を補強する手法が定着した時期。Joel HirschhornとAl Kashaは『ポセイドン・アドベンチャー』の「The Morning After」でもアカデミー歌曲賞を獲得しており、本作で二度目の栄冠に到達。壮麗なオーケストラと親しみやすいポップ・バラードの融合は、当時の映画音楽の潮流を象徴している。『タワーリング・インフェルノ』の社会的関心の高さと相まって、主題歌も国際的な認知を得た。
有名な演奏・映画での使用
映画『タワーリング・インフェルノ』の公式サウンドトラックに収録され、モーリン・マクガヴァンの透明感ある歌声とオーケストレーションが作品世界を支えた。劇中およびエンドクレジットの情緒を彩る楽曲として機能し、映画音楽の文脈で語り継がれている。シングルとしての発表により劇場外でも聴かれる機会が増し、のちの映画音楽コンピレーションやコンサートでも取り上げられてきた。個別のカバーや特定公演の詳細は情報不明。
現代における評価と影響
災厄を背景にしたラブ・バラードという位置づけから、感情の陰影を丁寧に描く名曲として再評価が続く。ポップとシネマティックなサウンドの橋渡しを行った点で後続の映画主題歌に影響を与え、アカデミー歌曲賞の受賞作としても参照頻度が高い。壮大なスコアと親密な歌の併存という設計は今日のブロックバスター作品にも通じ、映画音楽の語法における「歌の役割」を示す代表例とされる。
まとめ
「We May Never Love Like This Again」は、緊張感あふれる物語世界に人間的な温度を与えるラブ・テーマ。Joel Hirschhorn(共作:Al Kasha)の職人技、モーリン・マクガヴァンの歌唱、そして映画のスケールが相互に補完し合い、時代を超える普遍性を獲得した。事実関係の確かさと作品の余韻が両立する一曲として、映画音楽の歴史に確かな足跡を残している。