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Cotton Tail

  • 作曲: ELLINGTON DUKE
#スイング#スタンダードジャズ
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Cotton Tail - 楽譜サンプル

Cotton Tail|楽曲の特徴と歴史

基本情報

デューク・エリントン作曲の「Cotton Tail」は1940年に発表されたジャズ・スタンダード。原曲はインストゥルメンタルとして書かれ、エリントン楽団のレパートリーに組み込まれた。形式は32小節AABA、いわゆる“リズムチェンジ”(ジョージ・ガーシュウィンのI Got Rhythmのコード進行)を土台にしたコントラファクトで、ビッグバンドでも小編成でも広く演奏される。後年、ジョン・ヘンドリックスによる歌詞が付けられたヴォーカリーズ版も知られるが、曲の核はアンサンブルとアドリブの応酬にある。

音楽的特徴と演奏スタイル

アップテンポのスウィング感とリフ主体のテーマが特徴。Aセクションではシンコペーションの効いたフレーズが疾走し、ブリッジでは循環進行を用いた和声展開がソロを後押しする。ソロは“リズムチェンジ”特有のII–V–I連鎖やトライトーン・サブスティテューションなどを駆使したライン構築が要点。ビッグバンドではセクション同士のコール&レスポンスやシャウト・コーラスが映え、小編成ではウォーキング・ベースとドライヴするライド・シンバルが推進力となる。

歴史的背景

1940年前後のエリントン楽団は、ハーモニーの洗練とソロイストの個性が高度に融合した時期。Cotton Tailはそのモダンな語法とスウィングの切れ味を象徴する1曲で、当時のダンスホールからコンサート・ステージまで幅広く支持を得た。ジャム・セッション文化の拡大とともに“リズムチェンジ”の代表曲として教育現場にも定着していく。

有名な演奏・録音

初期録音としてのデューク・エリントン楽団版は、テナー・サックスのベン・ウェブスターを大きくフィーチャーした名演として知られる。以降、多くのサックス奏者やビバップ以降のコンボがレパートリーに採用。エラ・フィッツジェラルドはスキャットとヘンドリックスの歌詞を織り交ぜたヴァージョンで人気を博し、ビッグバンド/大学ジャズの定番曲としても数多く録音・演奏されている。

現代における評価と影響

現在もジャズ・クラブの定番曲であり、即興言語の練習曲としても重要視される。テンポ、フォーム、コード進行が明快なため、基礎から上級まで段階的に学べる教材曲として重宝され、スウィング・ダンスの現場でも高い需要を保っている。

まとめ

Cotton Tailは、エリントンの作曲術とアンサンブル美、そしてソロ即興の妙味を凝縮したジャズ・スタンダードである。インストゥルメンタルを原点としつつ、多彩な解釈を受け入れる懐の深さこそが長命の理由だ。