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Feelings

  • 作曲: GASTE LOUIS FELIX PIERRE MARIE
#洋楽ポップス
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Feelings - 楽譜サンプル

Feelings|歌詞の意味と歴史

基本情報

『Feelings』はポップ・バラードとして広く知られる楽曲で、ブラジル出身の歌手モーリス・アルバートの歌唱で1975年に世界的ヒットとなった。作曲者については、フランスの作曲家ルイ・ガステ(GASTE LOUIS FELIX PIERRE MARIE)の既存曲との類似が法廷で争われ、以後ガステ名が作曲者としてクレジットされる版が存在する。作詞は一般にモーリス・アルバートとされる。ジャンルはアダルト・コンテンポラリー寄りのポップ・バラード。

歌詞のテーマと意味

歌詞は別離による喪失感、残された未練、そして揺れ動く自己感情の反芻を中心に展開する。恋が終わった後も消えない感情を率直に吐露し、理性では断ち切れない心の残響を繰り返し強調する構成が特徴だ。語彙や比喩は平易で、過度な装飾を避けることで普遍的な痛みを多くの聴き手に開かれた形で提示する。結果として、個人的体験に寄り添いながらも国や世代を超えて共感を呼ぶラブソングとして受容されてきた。

歴史的背景

1970年代中盤はソフトロックやアダルト・コンテンポラリーが台頭し、メロディ重視で親しみやすいバラードが各国のチャートを席巻した時期である。本曲もその潮流の中で広範に支持を得た。一方、作曲面ではガステの楽曲『Pour Toi』との類似が問題となり法廷で争われ、ガステ側が勝訴したことが報じられている。これにより一部の出版・録音物では作曲者表記がガステを含む形に修正された。著作権と創作の独自性を巡る象徴的事例としてしばしば引き合いに出される。

有名な演奏・映画での使用

本曲は多数の歌手にカバーされている。なかでもシャーリー・バッシーのドラマティックな歌唱は、原曲のセンチメンタルな魅力をスケールの大きい表現へ拡張した例として評価が高い。また、ニーナ・シモンはライブで解釈的かつ批評的なアプローチを見せ、曲そのものが持つ感傷性を逆照射する演奏で話題を呼んだ。映画やドラマでの具体的な使用作品は情報不明。

現代における評価と影響

今日、『Feelings』は“甘美で感傷的”という1970年代バラード像の代表として、称賛と揶揄の両極の文脈で語られる。メロディの記憶性と歌いやすい音域設計は、ボーカル練習やラウンジ演奏の定番曲としての地位を支えている。また、著作権紛争の判例として音楽教育や業界のコンプライアンス研修で参照されることもある。センチメンタルな情感表現の規範であると同時に、引用・パロディの対象にもなり続ける稀有な存在だ。

まとめ

『Feelings』は、平易な言葉で普遍的な喪失の痛みを描いたポップ・バラードであり、同時に著作権を巡る議論を喚起した歴史的作品でもある。名だたる歌手の多様な解釈を生み、賛否を含む豊かな受容史を重ねてきた。感情の普遍性と創作の独自性、その両者を考える入口として、今なお聴き返す価値の高い一曲だ。