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Don't Get Around Much Anymore

  • 作曲: ELLINGTON DUKE
#スイング#スタンダードジャズ
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Don't Get Around Much Anymore - 楽譜サンプル

「Don't Get Around Much Anymore|楽曲の特徴と歴史」

基本情報

デューク・エリントン作曲のジャズ・スタンダード。原型は1940年の器楽曲「Never No Lament」で、1942年にボブ・ラッセルが歌詞を付け現題となった。32小節AABA形式の中速スウィングで、ビッグバンドも小編成も定番レパートリーとして親しまれる。

音楽的特徴と演奏スタイル

メロディは跳躍と半音進行が巧みに交錯し、ブルーノートのニュアンスが色気を添える。AABAの各Aでは歌心を、Bでは和声的推移を活かしたアドリブが映える。リズムは4ビートのスウィングが基本で、ボーカルは会話的フレージング、バンドはリフの呼応が効果的。

歴史的背景

スウィング黄金期のエリントン楽団は、洗練と大衆性を兼備したレパートリーを多数生んだ。本曲もその一つで、器楽曲から歌物へと発展し、戦時下のアメリカでラジオ放送やダンスホールを通じ広く浸透。以後、戦後のポピュラー/ジャズ双方で標準曲として定着した。

有名な演奏・録音

代表的録音には、1940年のエリントン楽団による「Never No Lament」、歌入りの自楽団版(1940年代)、そして1943年にヒットしたインク・スポッツ盤がある。さらにエラ・フィッツジェラルドは『エリントン・ソングブック』(1957)で鮮やかな解釈を残し、後続の歌手や奏者の指標となった。

現代における評価と影響

今日ではセッションや音大教材、ビッグバンドのコンサートでも頻繁に取り上げられる。歌詞の洒脱なアイロニーと、器楽的にも歌唱的にも映える書法が両立しており、編曲の自由度も高い。多数のフェイクブックに掲載され、初学者からプロまで幅広く演奏される。

まとめ

器楽曲としての端正さと、歌物としての親しみやすさを兼ね備えた一曲。時代を超えて演奏され続ける理由は、明快な形式と豊かな和声、そして都会的な感傷が凝縮された普遍性にある。エリントン作品群の中でも、入口にも到達点にもなり得る名標準曲だ。