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Thriller

  • 作曲: TEMPERTON RODNEY LYNN,TEMPERTON ROD
#洋楽ポップス
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Thriller - 楽譜サンプル

Thriller|歌詞の意味と歴史

基本情報

作曲はロッド・テンパートン、歌唱はマイケル・ジャクソン。アルバム『Thriller』(1982)収録で、プロデュースはクインシー・ジョーンズ。シングルは1983年に発表され、ジョン・ランディス監督の長編MVで世界的な象徴曲となった。アルバム版は約5分57秒。エピックからリリースされ、精緻なスタジオ制作と緊密なアレンジで80年代ポップの指標を打ち立てた。

歌詞のテーマと意味

歌詞は深夜の恐怖映画的情景を借り、恐れとスリルを遊び心で楽しむという逆説を描く。二人称で聴き手を物語に招き入れ、緊張と解放の往復運動を演出。主人公は不安を煽りつつも共に踊ることで恐怖を娯楽へと転化する。終盤のヴィンセント・プライスによる語りはホラーの様式美を戯画化し、作品のカーニバル性とユーモアを決定づけている。

歴史的背景

MTV時代の黎明にあたり、音楽と映像の統合を前提に構想された。テンパートンは当初“Starlight”として構想し、より物語性の強い“Thriller”へ改題。クインシー・ジョーンズ率いる制作チームは、緻密なサウンドデザインとグルーヴ設計で、ダンスフロアとラジオの双方に映える質感を獲得した。こうして、アルバムの物語的中心として機能する一曲に仕上がった。

有名な演奏・映画での使用

ジョン・ランディス監督の約14分版MVは短編映画としても評価が高く、マイケル・ピータースとジャクソンによる“ゾンビ・ダンス”はポップ文化の定番となった。ライヴではVictory TourやHIStory Tourで大規模演出とともに披露され、舞台効果と振付が観客体験を拡張。具体的な映画での使用は情報不明だが、映像表現自体が準映画作品として独立した存在感を持つ。

現代における評価と影響

ビルボードHot100では4位ながら、MVの革新性が作品価値を決定づけた。2009年には米国議会図書館の国立フィルム登録簿にミュージックビデオとして初登録。ハロウィンの定番曲として定着し、毎年の季節需要で再浮上する。振付は学校行事やスポーツ会場、SNSのダンスカヴァーで継承され、制作・販売・消費を横断するポップ文化のモデルとして今なお影響力を保つ。

まとめ

Thrillerは、作曲・物語・映像・ダンスが有機的に結びついた総合芸術であり、発表から現在までポップ表現の基準点であり続ける。恐怖を娯楽へ昇華する設計が普遍性を生み、世代や媒体を超えて参照される理由となっている。楽曲単体の強度と映像の物語性が相互補強し、音楽の体験を拡張した歴史的名曲である。