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Fascination

  • 作曲: MARCHETTI FERMO F D
#洋楽ポップス#映画音楽
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Fascination - 楽譜サンプル

Fascination|歌詞の意味と歴史

基本情報

Fascination(通称「ファッシネーション・ワルツ」)は、イタリアの作曲家MARCHETTI FERMO F D(フェルモ・ダンテ・マルケッティ)による作品。原曲は三拍子の優雅なワルツで、初出年代は20世紀初頭(一般に1904年とされる)と伝えられています。のちに多言語で歌詞が付けられ、インストゥルメンタルとしても歌唱曲としても広く親しまれてきました。舞踏会やサロン文化を背景に生まれ、ヨーロッパからアメリカへと伝播し、長くレパートリーの定番となっています。

歌詞のテーマと意味

タイトルが示すとおり、歌詞の中心的テーマは“魅了(Fascination)”です。甘く流麗な旋律に乗せ、出会いによって心が惹きつけられ、日常が一瞬で色づくような感情の高まりを描きます。言語や訳詞の違いで表現は変わりますが、いずれもロマンティックなワルツの揺らぎと相まって、恋の陶酔や永遠性への憧れをやさしく歌い上げるのが特徴です。過度なドラマ性よりも、情景や心象の美しさを丁寧に描き出す点が、時代を超えて歌い継がれる理由と言えるでしょう。

歴史的背景

19世紀末から20世紀初頭にかけて、ワルツは依然として欧州の社交場で重要な位置を占めていました。Fascinationはその伝統に立脚しつつ、旋律美と分かりやすい構成で大衆にも受容され、各国で編曲・出版・録音が重ねられます。特に20世紀中盤、映画産業やレコード市場の拡大とともに再評価が進み、欧米でスタンダードとして確立。ダンスホールからラジオ、映画へと媒体を横断して、世代を超える知名度を獲得していきました。

有名な演奏・映画での使用

本曲は映画『昼下りの情事(Love in the Afternoon, 1957)』で効果的に用いられ、世間的認知が一段と高まりました。これを契機に多くの歌手・オーケストラが録音し、ヴォーカル版とインスト版の双方が広く流通。特に1950年代後半の録音は、家庭用オーディオの普及と相まって人気を集めました。以後もテレビやイベント、社交ダンスの場面で頻繁に取り上げられ、アコーディオンやサロン・オーケストラの定番として親しまれています。

現代における評価と影響

Fascinationは、結婚式や舞踏会、ダンス教育のレパートリーとして現代でも活躍しています。テンポ設定や編成の自由度が高く、ソロ楽器からフル・オーケストラまで対応可能な柔軟性が評価の要因です。ストリーミング時代においても“クラシックでもポップでもない、ノスタルジックで気品あるワルツ”という独自の立ち位置を維持し、プレイリストや映像BGMでの需要が継続。世俗的な場でも芸術的な場でも映える、汎用性の高い名曲と位置づけられています。

まとめ

マルケッティ作曲のFascinationは、端正な三拍子に甘美な旋律を乗せ、恋の陶酔を普遍的に描いたワルツの名品です。20世紀初頭の誕生以来、映画での印象的な使用と多様な録音によって語り継がれ、現在も社交・儀礼・鑑賞の各シーンで息長く愛されています。言語や編成を超えて魅了し続ける、そのタイトルにふさわしい永続的な吸引力こそが、この曲の真価と言えるでしょう。