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I've Never Been In Love Before

  • 作曲: LOESSER FRANK
#スタンダードジャズ
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I've Never Been In Love Before - 楽譜サンプル

I've Never Been In Love Before|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「I've Never Been In Love Before」は、作詞作曲ともにFrank Loesserによる楽曲で、1950年のブロードウェイ・ミュージカル『Guys and Dolls』に書き下ろされたナンバー。劇中ではサラ・ブラウンとスカイ・マスターソンのデュエットとして歌われ、恋に不器用な二人が初めて本気の想いに気づく転機を描く。初演キャストではRobert AldaとIsabel Bigleyが担い、舞台の成功とともにスタンダードとして定着。以後はジャズ・ヴォーカルや器楽のレパートリーに広く取り上げられ、セッションでも通用する定番曲となった。

音楽的特徴と演奏スタイル

形式は一般にAABA型の32小節。Aセクションは穏やかな上行下行を織り交ぜた歌いやすい旋律線で、ブリッジ(B)は和声進行とメロディの推進力が増し、感情の高まりを作る。和声はジャズ語法に親和的なII–V進行を多用し、リハーモナイズや経過和音の付加に適している。テンポはバラードからミディアム・スイングまで幅広く、ヴォーカルではルバートのイントロや終盤のリタルダンド、器楽ではブラシを用いた4ビートやピアノ・トリオの繊細なダイナミクスが好まれる。歌詞は内省的で率直、過度な装飾よりも言葉の明瞭さとフレージングの自然さが鍵となる。

歴史的背景

本曲はアメリカ黄金期ミュージカルを代表する『Guys and Dolls』(1950年初演)の一曲として誕生。Loesserは劇中人物の心情に即した言葉と旋律を一体で設計する作家で、本曲でも台詞から自然に続くような言語リズムと音型が緊密に結び付く。作品全体はギャンブラーたちの世界を描きつつ、恋と改心をテーマに持つ群像劇で、舞台の成功は楽曲群の広範な普及につながった。本曲はその中でも特に汎用性が高く、ブロードウェイ発の歌としてジャズ・クラブや録音スタジオへと早期に流入した。

有名な演奏・録音

初演ではRobert Alda(スカイ)とIsabel Bigley(サラ)がデュエットで披露。以後、多数のジャズ歌手・器楽奏者が録音し、歌伴から小編成コンボ、オーケストラ・アレンジまで幅広いスタイルが存在する。代表的な録音の決定的リストは情報不明だが、ヴォーカルでは端正なディクションと控えめなヴィブラート、器楽ではメロディを尊重したシンプルな主題提示と和声拡張によるソロ展開が評価される傾向にある。

現代における評価と影響

今日ではジャズ・スタンダードとして教育現場やセッションで頻繁に取り上げられ、歌手の表現力や英語詞のニュアンスを磨く教材としても重宝される。軽やかな旋律と普遍的テーマは世代を超えて親しまれ、ミュージカルのリバイバル公演でも重要な感情転換点を担う楽曲として位置づけられている。映画や特定の商業利用の詳細は情報不明だが、録音・演奏の蓄積によりカバーの幅は年々広がり続けている。

まとめ

「I've Never Been In Love Before」は、舞台由来の物語性とジャズ語法の相性が抜群の一曲。素直なメロディと柔軟な和声進行が解釈の幅を与え、デュエットからソロ、器楽まで対応可能な普遍性を備える。初演から長く愛される理由は、恋の告白を等身大に描く歌詞と、過度な技巧を要さずとも深い感情を伝えられる楽曲設計にあると言える。