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The Last Thing On My Mind

#洋楽ポップス

The Last Thing On My Mind - 楽譜サンプル

「The Last Thing On My Mind」は、米国のシンガー・ソングライター、トム・パクストン作によるフォーク・バラード。1964年発表とされ、作詞作曲は本人。穏やかな旋律と素朴なコード進行で、フォークからカントリーまで幅広く歌い継がれてきた代表曲の一つと評価される。

別れ際に相手を傷つけてしまった語り手が、思いやりの欠如を悔い、謝罪し、未練と反省を静かに吐露する内容。あなたを傷つけることは「私の念頭にすらなかった」という核心フレーズが、取り返しのつかない過ちへの痛切な自覚を浮かび上がらせる。平易な言葉で普遍的な後悔を描く点が共感を呼ぶ。

楽曲は1960年代の米フォーク・リバイバル期に生まれた。ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジを拠点に台頭したパクストンは、社会的テーマの歌と並行してパーソナルな恋愛歌も書き、この曲がその代表格となった。発表後は英国やナッシュビルにも広がり、フォークとカントリーの橋渡し役を果たした。

デュオ期のポーター・ワゴナー＆ドリー・パートンによるカバーは、同曲をカントリーのスタンダードへ押し上げた重要盤として知られる。オーストラリア出身のフォーク・グループ、ザ・シーカーズらも取り上げ、英語圏で広く定着。映画での使用は情報不明だが、テレビやライブでの歌唱例は多い。

シンプルな構成ゆえに解釈の幅が広く、ソロ弾き語りからバンド、ブルーグラス編成まで相性が良い。多くのシンガーがレパートリーに加え、音源やライブで繰り返し紹介されることで世代を超えたライフサイクルを保つ。失恋歌の定番として、英語圏の歌唱教材・セッション曲にも定着している。

後悔と謝罪をテーマに、簡素な言葉で深い感情を伝える本作は、時代とジャンルを越えて歌い継がれる稀有なポピュラー・ソングである。トム・パクストンの作家性を象徴し、フォークとカントリー双方の文脈で評価を獲得したことで、今なお新たなカバーを生み続けている。