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Un Anno D'amore(別離)
- 作曲: FERRER NINO, VERLOR GABY

Un Anno D'amore(別離) - 楽譜サンプル
Un Anno D'amore(別離)|歌詞の意味と歴史
基本情報
Un Anno D'amore(別離)は、Nino FerrerとGaby Verlorが作曲し、イタリア語詞をMogolが手がけたポップ・バラード。1960年代にMinaの歌唱で広く知られるようになった。哀愁を帯びた旋律とオーケストラを基調にしたアレンジが特徴で、別れの情感をドラマティックに描く。日本では邦題として「別離」が用いられることがある。スペイン語版「Un año de amor」も普及し、多言語で歌い継がれるレパートリーとなっている。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、一年間の恋の記憶を辿りながら、取り返しのつかない別れを受け止めていく心情を描く。相手を失って初めて気づく喪失感、孤独、そして時間が痛みを和らげるかもしれないという希望が交錯し、静かな諦念と自尊の回復が同居する。直接的な非難よりも内省が中心で、情景や記憶の断片を通じて普遍的な失恋の物語が浮かび上がる。旋律の高まりとともに感情の波が押し寄せ、言葉と音楽が緊密に結びついている。
歴史的背景
本曲はフランス語曲「C’est irréparable」を源流とし、1960年代前半に欧州ポップが国境を越えて相互翻案された潮流の中でイタリア語版「Un Anno D’amore」として定着した。Ferrer/Verlorのメロディが持つ叙情性は言語をまたいで維持され、各地で独自の表現が加わりながら拡散。イタリア大衆音楽がヨーロッパ全域へ広がった好例として、翻案文化のダイナミズムを示している。
有名な演奏・映画での使用
代表的な歌唱としてMinaの版本が知られ、以後多くの歌手がレパートリーに取り入れている。特に、Luz Casalが歌うスペイン語版「Un año de amor」は、ペドロ・アルモドバル監督の映画『ハイヒール』(1991年、原題Tacones lejanos)で印象的に使用され、国際的な再評価を促した。コンサートやテレビ番組でのカバーも多数にのぼり、世代や地域を超えるスタンダードとして位置づけられている。
現代における評価と影響
今日では、60年代欧州ポップを象徴する失恋歌の代表格として評価され、情感豊かな旋律線と起伏のある構成がシンガーの表現力を際立たせる曲として重用される。言語や編曲が変わっても中心にあるドラマ性は損なわれず、ポップ・バラードのスタンダードとして、国内外のカバーや再解釈が継続。配信時代にも、往年の名曲として安定した支持を得ている。
まとめ
Un Anno D’amore(別離)は、別れの痛みを気品ある旋律に封じ込めた名曲である。Ferrer/Verlorの作曲とMogolの歌詞が生み出した普遍性は、Minaや映画での使用を通じて広く共有され、今日も新たな聴き手を惹きつけ続ける。