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Sister Sadie

  • 作曲: SILVER HORACE
#スタンダードジャズ
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Sister Sadie - 楽譜サンプル

Sister Sadie|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Sister Sadieは、ピアニスト兼作曲家ホレス・シルバーによるインストゥルメンタル曲。初録音はHorace Silver Quintetのアルバム『Blowin’ the Blues Away』(Blue Note, 1959)に収められ、同作の中でも特に演奏頻度が高いナンバーとして知られる。ジャンルはハード・バップに分類され、歌詞は付されていない(作詞者・公式な歌詞版の有無は情報不明)。明快な主題とソロ回しのしやすさから、コンボや学生バンドのレパートリーとしても広く親しまれている。

音楽的特徴と演奏スタイル

シルバーらしいブルース感とゴスペル由来の呼応(コール&レスポンス)を軸にしたリフが印象的で、リズム・セクションの推進力がメロディを力強く支える。多くの演奏が中速から速めのスイングで行われ、ホーン・セクションがユニゾンやハーモニーで主題を提示した後、各奏者がアドリブに入る構成が一般的である。和声語法は機能和声を基盤とし、メロディのフックが明快なため、アドリブではモチーフ・デベロップメントが有効に働く。楽曲の厳密な形式や調性は、編曲や版によって差異があるため情報不明とするが、演奏現場ではシンプルなリフと堅牢なグルーヴが核となる。

歴史的背景

1950年代後半、ハード・バップはブルースとゴスペルの語法をジャズに強く取り入れ、都市的で濃密なグルーヴを獲得した。ホレス・シルバーはその中心的人物であり、耳に残るテーマとソウルフルなコード進行を持つオリジナル群でシーンを牽引した。『Blowin’ the Blues Away』には「Peace」などの名曲も収録され、作曲家としての評価を決定づけたが、「Sister Sadie」も同様にセッション現場で息長く演奏され、スタンダード化していった。

有名な演奏・録音

最初期かつ基準とされる録音は、Horace Silver Quintetによる1959年のスタジオ音源である。以降、数多くのジャズ・コンボや教育現場で取り上げられ、ビッグバンド向けにも編曲が制作されるなど、広範な編成で演奏されてきた。網羅的なディスコグラフィや特定アーティストの代表盤の列挙は情報不明だが、リフ主体の明快さとソロ・スペースの取りやすさから、ライブでも録音でも継続的に選曲されている。

現代における評価と影響

今日の評価は極めて高く、ハード・バップ入門の教材としても定評がある。構造のわかりやすさは即興練習に適し、アンサンブル面ではホーンとリズムのダイナミクスを学ぶ格好の素材となる。セッションの現場ではキー設定やフォームは編曲に依存するものの、グルーヴの確立が最優先という点で共通理解があり、時代や編成を超えて演奏可能な柔軟性を持つ。結果として、世代を問わずレパートリーに残り続けるスタンダードとなっている。

まとめ

Sister Sadieは、ホレス・シルバーの作曲術を凝縮したリフ重視のハード・バップ・チューンであり、1959年の初録音以降、ジャズ現場で広く定着した。メロディの覚えやすさ、アドリブの自由度、アンサンブルの妙が同居し、学習・実演の両面で価値を発揮する。形式や細部の仕様は版により異なるため情報不明な点もあるが、その普遍的なグルーヴとソウルフルな語法が、今もなお多くの演奏者と聴き手を惹きつけている。