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Adios
- 作曲: MADRIGUERA ENRIC

Adios - 楽譜サンプル
Adios|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Adiosは、スペイン出身のバンドリーダー兼ヴァイオリニストであるMADRIGUERA ENRIC(エンリク・マドリゲラ)による作品。初出年や初演、出版情報、正式な作詞者の有無は情報不明だが、ビッグバンド/ダンス・オーケストラのレパートリーとして広く知られている。タイトルの“Adios(別れ)”が示すムードを帯びた旋律が特徴で、器楽曲として演奏されるケースが多い。
音楽的特徴と演奏スタイル
本作は、穏やかなテンポと叙情的なメロディーラインを軸に、アンサンブルの厚みで情感を高めていく構成が親しまれている。サックス・セクションが主旋律を担い、ブラスによるソフトなパッドや対旋律が寄り添うアレンジが定番。過度な技巧よりもフレージングの滑らかさ、ダイナミクスのコントロール、ハーモニーのブレンドが聴きどころとなる。スウィング感を保ちつつも、バラード寄りの表現で「別れ」の余韻を描く演奏が好まれる。
歴史的背景
MADRIGUERA ENRICは20世紀前半、米国を拠点に活動したバンドリーダーで、ラテン音楽の風合いをポピュラーやジャズの文脈へ橋渡しした人物として知られる。Adiosは、その活動圏の中でダンス・バンドやラジオ放送と結びつき、幅広い聴衆に届いた。作曲年は情報不明だが、ビッグバンドが隆盛した時代に親和性の高い曲想が支持され、ステージの導入や終演を彩るナンバーとしても機能した。
有名な演奏・録音
Adiosは、ビッグバンドのレパートリーにしばしば採用され、なかでもグレン・ミラー楽団が終演テーマとして用いたことで広く知られるようになった(具体的な初出時期は情報不明)。マドリゲラ自身の楽団による演奏も伝えられており、端正なメロディーを活かしたアレンジが楽曲の魅力を確立。以後、各地のダンス・オーケストラがコンサートや放送で取り上げ、静かな幕引きにふさわしい定番曲として定着した。
現代における評価と影響
今日でもAdiosは、ビッグバンドのバラード枠やラストナンバーとして選ばれる機会がある。ジャズの高度な即興性を前面に出すより、アンサンブルの品位や音色の統一感を磨く教材としても有用視され、学生バンドからプロ編成まで幅広く受容されている。配信時代にはオムニバスやアーカイブ音源の形で接点が増え、スウィング期のサウンド美学を知るエントリーとして評価が続いている。
まとめ
Adiosは、端正な旋律と落ち着いたテンポで“別れ”の情感を描く、ビッグバンド由来のスタンダード曲として親しまれてきた。詳細な作詞者・作曲年は情報不明ながら、マドリゲラの名とともに、舞台や放送の締めを飾る名曲として現代まで演奏されている。静謐な美しさを湛えた一曲を、録音やライブでじっくり味わいたい。