アーティスト情報なし

Against the Wind

#洋楽ポップス#スタンダードジャズ

Against the Wind - 楽譜サンプル

1980年に発表されたBob Seger & The Silver Bullet Bandの代表曲。作詞・作曲はボブ・シーガー（SEGER BOB）。同名アルバムからのシングルとして広く知られ、ミドルテンポのロック・バラード調。抑制の効いたバンド・サウンドと芯のある歌唱が胸に残る。

タイトルの“風に逆らって”は、人生の逆風に向き合い歩み続ける決意の比喩。若さの自由や放浪への憧れと、大人としての責任・時間の不可逆性が対比され、自己省察と成熟が核にある。出来事の羅列ではなく、過去を振り返りつつ現在地を確かめる語り口で、聴き手それぞれの経験に重なる余白が魅力だ。

1970年代後半から1980年にかけ、米中西部の価値観を背景にした“ハートランド・ロック”が支持を拡大。デトロイト出身のシーガーはその中心的存在で、本曲は派手さより語りと旋律を重視する作風を体現した。社会不安が続いた時代に、個人の忍耐と誠実さを描く歌として共感を集めた。

本曲はシーガーのコンサートで長年の定番。静と動のダイナミクスが観客の合唱を誘う。映画やドラマでの具体的な使用、著名なカバーの詳細は情報不明だが、FMラジオや配信プレイリストで耳にする機会は多い。

今日ではクラシック・ロックの文脈で評価を保ち、配信時代にも再発見が進む。装飾を抑えた普遍的なメロディと、年齢を重ねるほど意味が深まる内省的な歌詞が長寿の理由。移動や人生の節目を彩る“伴走歌”として、世代を超えて支持されている。

Against the Windは、逆境に抗いながら自分の速度で進むことを励ます等身大のロック・バラード。具体と普遍のバランスに優れ、初聴でも共感でき、聴き込むほど味わいが増す。時代を越えて響く所以は、そこにある。