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America,the Beautiful

  • 作曲: WARD SAMUEL
#洋楽ポップス
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America,the Beautiful - 楽譜サンプル

America,the Beautiful|歌詞の意味と歴史

基本情報

作曲は教会オルガニストのサミュエル・A・ウォード。彼が1882年に賛美歌として書いた旋律「Materna」に、詩人キャサリン・リー・ベイツの詩がのせられて現在の形となった。ベイツの詩は1893年に着想、1895年に発表、1904年に改訂。現在広く歌われる版は1910年に普及したとされる。アメリカ合衆国を讃える愛国歌として、学校や式典、スポーツイベントまで幅広く用いられている。

歌詞のテーマと意味

歌詞は大地の広がり、黄金色の穀物畑、雄大な山並み、海から海へと続く国土のイメージを積み重ね、自然の美と理想を結びつける。さらに国家の繁栄だけでなく「欠点を正し、高潔さを求める」視点が通底し、敬虔さ・自制・自由への責任といった倫理的徳目が強調される。祝祭性と祈りが同居する点が、単なる賛歌にとどまらない魅力である。

歴史的背景

ベイツはコロラドの山岳風景に触発されて詩を構想したと伝えられる。複数の旋律が試されたのち、ウォードの「Materna」との結合が定着。20世紀初頭から合衆国内で急速に親しまれ、国歌の代替候補として議会や世論で取り上げられることもしばしばあった。宗教的語彙を含みつつ、市民的理想を掲げる点が時代を超えて共感を呼んだ。

有名な演奏・映画での使用

名演としてはレイ・チャールズのソウルフルな編曲が広く評価され、合唱版や吹奏楽、オーケストラ版も定番化している。大統領就任関連行事、独立記念日のコンサート、主要スポーツの開会式などで頻繁に歌われ、映画やテレビでも情感と厳粛さを喚起する楽曲として引用される例が多い。

現代における評価と影響

今日では、包摂的で風景に根ざした愛国イメージを提示する歌として、対立を越えて共有されやすいという評価がある。一方で、祈りや道徳的徳目をめぐる解釈には地域・宗派差も存在する。多言語コミュニティでの歌唱、ジャズやゴスペル、クラシックの枠を越えた編曲が進み、教育現場でも歌詞の修辞や歴史を学ぶ教材として活用されている。

まとめ

America the Beautiful は、自然賛美と市民的理想を結ぶ言葉と、歌いやすく格調ある旋律が結びついたアメリカ文化の柱の一つである。作曲ウォード、作詞ベイツという明確な来歴をもち、現在も式典から大衆音楽まで息長く演奏される。歌詞全文の暗唱に頼らずとも、要旨を理解して味わう価値が高い作品だ。