Lately
- 作曲: WONDER STEVIE

Lately - 楽譜サンプル
Lately|歌詞の意味と歴史
基本情報
Stevie Wonderによるバラード「Lately」は、1980年発表のアルバム『Hotter than July』に収録。作詞作曲はWONDER STEVIE。レーベルはTamla/Motown。ピアノを中心にしたシンプルな編成と弦のオブリガートが特色。シングルとしては1981年に一部地域で発売され、英国でヒットした事実が知られる。楽曲のキーやテンポの公式情報は情報不明。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、恋人の心変わりを疑う語り手が、不安と自己否定のはざまで揺れる告白的独白。相手を責め立てるよりも、自分の感じる違和感を丁寧に言語化し、関係の行方を静かに問う姿勢が核となる。甘美なメロディに対し、言葉は率直で痛切。終盤に向けて感情の振幅が大きくなり、脆さと誠実さが同居する点が聴きどころ。
歴史的背景
『Hotter than July』は社会的メッセージとポップス感覚を両立した作品で、「Happy Birthday」などの明朗な曲と並んで、この静謐なバラードが陰影を添えた。発売は1980年。翌年にかけて欧州での評価が高まり、「Lately」も英国でシングル・ヒットを記録。80年代初頭のR&B/ソウルにおけるバラード表現の指標の一つとなった。
有名な演奏・映画での使用
最も知られたカバーの一つがJodeciによる1993年のMTV Unplugged版。ゴスペル的コール&レスポンスと豊かなフェイクで新世代R&Bに接続し、大きな商業的成功を収めた。ほかにも多くのシンガーがライブの定番曲として選曲。映画・ドラマでの顕著な使用については情報不明。
現代における評価と影響
「Lately」は、卓越したメロディ運びと転調、細やかなダイナミクス制御により、シンガーの表現力を試すレパートリーとして位置づけられる。ヴォーカル・オーディションや音楽学校の実技課題で取り上げられる例も多い。R&Bバラードのスタンダードとして世代を超えて継承され、配信時代でも長く聴かれ続けている。
まとめ
疑念と愛情のあわいを描いた私的なバラードでありながら、普遍的な感情の言語化に成功した曲。それが多様な歌い手に解釈の余地を与え、カバーの蓄積を生んだ。Stevie Wonderの作家性の一端を凝縮した一曲として、今日でもR&B/ソウル史の要点を学べる重要作と言える。