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What's Going On
- 作曲: BENSON RENALDO, CLEVELAND ALFRED W, GAYE MARVIN P

What's Going On - 楽譜サンプル
What's Going On|歌詞の意味と歴史
基本情報
1971年、Tamla(モータウン)から発表されたマーヴィン・ゲイの代表曲で、同名アルバムの表題曲。作曲はRenaldo Benson、Al Cleveland、Marvin Gaye。編曲はDavid Van DePitte、演奏はFunk Brothers。サックスの印象的なイントロはEli Fontaine。全米R&B1位、Hot 100で2位を記録し、録音はデトロイトのHitsville U.S.A.で行われた。
歌詞のテーマと意味
歌詞は暴力や貧困、戦争、公害など社会の分断に直面した人々へ、対立ではなく共感と対話を求めるメッセージを投げかける。親子や仲間への呼びかけが反復され、祈りのような口調で「何が起きているのか」を問い続ける構成。直接のスローガンより、優しい声色で良心に訴える点が特徴だ。
歴史的背景
着想は1969年、Renaldo “Obie” Bensonがバークレーでの警察暴力を目撃したことに端を発する。BensonとClevelandの曲案を、ゲイがジャジーなコード進行と多重ボーカルで再構築。政治色を懸念した社内の反対(ベリー・ゴーディの難色)を押し切り、シングルの成功がモータウンの転機となった。
有名な演奏・映画での使用
代表的なカバーには、Donny Hathaway(1972年のライヴ版)、Artists Against AIDS Worldwideによる2001年のチャリティ版、A Perfect Circle(2004年)などがある。映画での具体的な使用作品は情報不明だが、社会問題を扱う映像文脈でしばしば引用・演奏される楽曲として知られる。
現代における評価と影響
本曲と同名アルバムは「ソウルによるコンセプト作品」の範例とされ、R&B/ヒップホップの社会的発言に大きな道筋を開いた。2021年のRolling Stone誌「史上最高の500曲」で第1位に選出。重層コーラスや流れるようなベースラインは多くのアーティストに影響を与え、再発やリミックスでも再評価が続く。
まとめ
What's Going Onは、洗練されたサウンドと温かな声で、時代の痛みを抱擁する希有なポップ・ソウルだ。問いかけは半世紀を超えても色あせず、分断の時代における共感の指針として聴かれ続ける。音楽が社会と向き合うための最良の手本の一つと言える。