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Beyond the Sea
- 作曲: TRENET CHARLES LOUIS AUGUSTIN GEORGES,LASRY ALBERT ABRAHAM

Beyond the Sea - 楽譜サンプル
Beyond the Sea|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Beyond the Seaは、フランスの名曲La Mer(作曲:シャルル・トレネ/アルベール・ラスリー)に英語詞が付けられ国際的スタンダードとなった楽曲。英語詞はジャック・ローレンスが担当し、原曲の詩的な海の描写を、海の向こうにいる恋人を想う物語へと転換した点が特徴です。ジャズやポップの領域で広く親しまれ、とりわけ英語版はビッグバンドの華やかなサウンドと相性が良く、スウィング感あふれるヴォーカル・ナンバーとして定着しました。
音楽的特徴と演奏スタイル
典型的なスウィング・フィールと躍動的なウォーキング・ベース、ブラスのリフが牽引するビッグバンド・アレンジが要諦です。メロディはなめらかに上行・下行し、海原のうねりを思わせる曲線的なラインを形成。ヴォーカルはレガート主体ながら、シンコペーションを効かせたフレージングが生き、余韻を残すブレス配分や語尾処理が表現力の鍵となります。エンディングに向けてダイナミクスを拡張する構成もしばしば採られ、ライブではテンポや調性の微調整、スキャットや短いソロの挿入などで即興性が加わります。
歴史的背景
原曲La Merは戦後のフランスで広く愛され、その旋律美が国境を越えて英語圏へ拡散しました。英語化により、詩世界は海の情景描写からロマンティックなラブソングへと焦点が移り、アメリカのエンターテインメント産業—特にダンスホールやラジオ、レコード市場—で受容が加速。やがてジャズ・シンガーとビッグバンドの定番レパートリーとして確立され、ポピュラーとジャズの架け橋的存在となりました。
有名な演奏・録音
英語版を世界的に知らしめたのはボビー・ダーリンの録音で、力強いブラスと軽快なスウィングで決定版的評価を獲得。原曲側ではシャルル・トレネ自身の歌唱が不朽の名演として語り継がれています。映画『ファインディング・ニモ』での使用や、ボビー・ダーリンの伝記映画『Beyond the Sea』(2004)での再解釈も一般層への浸透を後押ししました。その他、多数の歌手・バンドがライブやアルバムで取り上げ、ジャズ・クラブの定番曲としても定着しています。
現代における評価と影響
Beyond the Seaは、世代や国境を越えるスタンダードとして、映画・テレビ・CM、さらにはウェディングやイベントでも頻繁に選曲されます。配信・ストリーミング時代においても検索需要は安定し、ジャズ・プレイリストの中核曲として継続的に発見されています。教育現場でも、スウィング・フィールの体得やブラスとヴォーカルのバランス学習に適した教材曲として扱われることが多く、実演・録音の双方で今なお更新され続ける「生きた古典」として高評価を獲得しています。
まとめ
詩情豊かな旋律を核に、英語詞でロマンティックな物語性を獲得したBeyond the Seaは、ポップとジャズの架橋として不動の地位を築きました。ビッグバンド映えする編成、歌唱表現の幅広さ、映像メディアとの親和性が、長期的な人気の要因です。今後も名演が生まれ続けるであろう普遍的スタンダードとして、入門者から愛好家まで幅広く推奨できる一曲です。